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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
2043/2359

- C 906話 ぴんく☆ぱんさー 1 -

 回覧板の中身は、甲蛾衆アリスさんからのもの。

 西大陸から東へ。

 出来れば大陸から出たくないけど、そっちに行きますっていう報告。

「なんじゃ、コレ」

 パンツは死守した。

 沁みは付いてない奇麗な下着だったのに。

 ふたりの狂暴な変態のせいで。

 ゴムがバカになりましたよ。

「アリスさんもバカに?!」


「いや、歯に何か挟んでる、含んだ言い方しやがって」

 ハナ姉が腕を組み、

 メルちゃんも似た仕草で背を合わせてきた。

 仲、本当にいいなあ。

「ふたりして何か悪巧み?」

 ボクはツナギに着替えるよ。

 マジで緩んだパンツを太ももで、挟んだままじゃ仕事し難いし。

「では、ゴムがバカになったパンツは?」

 そのままでは気持ち悪いので、履き替えるわけだけども。

 彼らの目につきそうな、あるいは鼻にかかるような場所には起きませんよ?

「いや、そっちの話じゃないでしょ。...そのまま変態なら殴るよ?」

 しゅんとするふたり。

 なにその犬っぽいの。

 かわいいじゃん。

「...っ、この()()()なんだけど。こちらには高度な盗聴防止の念話なり、遠見の鏡通信があるよね。これで十二分に報告会が出来る」

 それが使えない状況。

 電波情況以外には、部外者が傍にある示唆。

 部外者か~



 部外者が来る。

 ハナ姉の推測は正しい。

 東大陸から人が渡るときは、北回りか。

 南回りの航海路が用いられる。


 飛行場はあるけど。

 民間用に怪鳥ゴーレムの旅客路線なんて無いしね。

 空輸がダメなら海輸。

 これしかないから問題であり、国境がはっきりしている分、守り易いって話。

「この桟橋でいいの?」

 暇そうだったウナちゃんと、アーサー卿が出迎えに。

 貨客船から水揚げされるのはコンテナばかり。

「と、言う話でしたが...コンテナばかりですね」


「だよね」

 民間航路とはいえ、臨検はある。

 人の流れを統制したい城州王としては、領海を出る寸前の船には義務づかせてた。

 だから――。


 高く積まれたコンテナの扉がゆっくりと開かれる。

「くそぉー、マジで重いじゃんかよこの扉!!!」

 力任せに押し込んだ反動で、足元が不確かで不安定な空に踏み出してた。

 傘の「し」の字を使って、アリスさんの腰紐に引っ掛け。

 辛うじて死のダイブから救った形となってる。

「お、さ、さんきゅー」


「お! じゃないですよ。もう少し周りを見ながら踏ん張りなさい」

 男と会話をしてしまったと猛省する者と、その奥に佇む他2名の気配。

「その傘、使えないだろ?」

 アリスに触れたという理由だけど。

 なんてもったいない。

「出航前の出店で買った安物ですが、残念です」

 そっか、なら仕方ない。

「アリス君」


『はい』

 ハンカチ越しに会話することが赦されてる。

 この訪問前に決まったことだけど。

 人間扱いされてない雰囲気にストレスがたまる感じ。

「キミの妹さんに依頼して“傘”を所望するよ」

 何でって思わなくもない。

 いや、ポーカーフェイスが効かないほど、露骨に顔に出た。

 でもすぐに冷静になって、

「あいつは東大陸こっちには居ない。諦めろ」

 これで諦めないのが、ぴんく☆ぱんさーの総長なんだけど。

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