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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
2036/2367

- C 899話 ルビコン川のほとりにて 9 -

「キミたちの何れかが聖櫃って連中と繋がってたりしないかい?」

 ん?

 待て、待て。

 アリスさんと総長さんとで視線が重なる。

 ラミアさんはもじもじしてるだけで。

「アリス君とは会話したくないんだけど」

 本音が出た。

 総長は口と鼻をハンカチーフで押さえ、

「本当はキミのような、悪性の胞子を飛ばしそうな者とは一緒の空間も嫌なんだが」

 世界の不幸な者選手権で、一番不幸そうな雰囲気で囀る総長。

 軽蔑にも似た目が凄みを増して、

「こんな状況だ。甲蛾衆は敵に回したくない、()()()で手をうとう」

 殴られてた。

 あ、いや。

 妹の件を聞き終えてない状態で、総長を。

 アリスさんが殴り倒してた。

「ふふ、ボクがキライなのは分かってるけど。らしくないなあ、感情的になるとか...アレか、キミが渡りをつけられるって事か?」

 見当は付けてたけど、確信がなかった雰囲気ような

 当たらずも遠からず。


 甲蛾衆だって、聖櫃とのコンタクトの取り方は分からないけど。

 ボクらの物差しで考えれば。

 恐らく、今も豪州の空に浮かんでる巨魚アレが見えさえすれば、甲蛾衆じゃなくても。

「渡りだと?」

 少しだけ凄んで見せる。

 総長の頭はまだ卓にめり込んでる状態だけど。

「ああ、ボクらの世界で好き勝手し過ぎだろ、彼ら?」

 なるほど。

 そういう認識なのか。



 仕切りなおされた事務所内。

 執務室へ移ってもよかったけど、そこはラミアの私物がいくつかある。

 例えば踏まれてもうれしい義妹リリィとの懐かしい写真など。

 出会いは、孤児院から引き取って直ぐなので、10歳と満たない感じか。

 極度に怯えてて。

 雨に濡れた殺気剥き出しの仔猫のような、雰囲気だったと。

 そんな、噛みつかれそうな仔猫を優しく姉として迎えて――殴られ、蹴られ、噛まれた。


 最後は風呂に入れようとして、だ。

「自分で入れると言ったじゃないですか!」

 今でも美しい思い出のように語る。

 リリィ曰く、

「あんなの思い出じゃなくて、黒歴史です。人の色だとか匂いとかをこと細かく思い出してくれるんで、やっぱり消したい過去です。という訳で、姉さん......いい加減にしないと一服盛りますよ?」

 盛らなくても、ガスがある。

 最近開発した霧状の散布毒。

 致死性には難があって、屋外ではなかなか死にきれない感じ。

「この部屋なら、わんちゃん」


「物騒な、リリィちゃんにもボクの子、産んでほしいから順番は守ってね」

 めり込んだ首から冗談が聞こえる。

「冗談じゃないよ~ 本気にしていいからね!!」


「やめろ、この変態が!」

 もっと奥に押し込まれた気がする。

 机の下に落ちるは、カボチャ。

 周りが欠伸に気が付いて遠退いて、1秒か。

「はい、ボクを見失った時点で今! キミたちぃ~死んだよ? うん、いいねその呆気に取られた顔」

 好物だよ~って続く。

 騙し、騙され、騙し合うのが諜報道。

 殺し合うのは別の職業だと、総長は嗤った。

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