- C 897話 ルビコン川のほとりにて 7 -
「少佐が娼館の主人になったというのを知ったのは、殆ど偶然に過ぎない。よくカモフラージュされてて工作の次いでで無ければ、彼女にちょっかいを出してやろうとは思わなかったが。そう、そうか...甲蛾衆がバックにあるというのなら、404がオセアニアにあるなんて気が付きもしなった、な」
アリスがここにある事で変に縺れてたピースが繋がってしまったようで。
優男は何度も頷いてた。
「――何か? 私の知る人物のような言い方だが」
「知る人物さ、少佐の魔眼に晒されても、肩こりに効くマッサージ器程度にしかスタンを受け付けず。リリィの毒だって俺には効きはしない。甲蛾衆の棟梁相手でも臆さず、ラミアを片手に抱えていても...たぶん君らと遊ぶことが出来ると思うよ?」
アリスがらしくなく舌打ちをする。
タネが明かされて。
両腕を頭上に挙げた。
「糞、総長殿かい...ぴんく☆ぱんさーってのはそんなに暇なのか?!!」
ラミアの舌は、総長の舌から逃げてるとこ。
男の唇にしてはずいぶん柔らかいなあとは、思ってた。
経験不足のために全く気が付かなかったようで。
◇
3人? いや。
リリィも呼ばれてラミアの事務所に通された。
優男の恰好から、金色の長髪にナルトみたいな帽子を載せて。
メンマよろしくステッキと茶褐色が地のスーツに着替えてた。
「それ、何系ラーメンだよ?」
「あ、いや。台州の流行りだと」
知らねえってのが総長以外の感想。
声に出すまでもなく。
ボディガードも明後日に向いてる。
あ、これ吹いてるな。
「もう一度聞く!」
「おうよ!!」
拍子が抜けるから応答しないで欲しい。
「何で、此処にいる」
「遊びたかったから!!」
アリスが卓上に頭突きした。
代わって唇を入念にナプキンで拭いている、ラミアが。
「どうしてここに?!」
「ラミアちゃんの匂いがした!」
埒が明かねえ。
総長はこういう人だ。
食えねえ。
いや、喰わんと思うけど。
キャッチボールに成らねえ。
「では、お仕事とは?」
リリィが挙手して、問うた。
総長は、彼女に指を立て。
「破壊工作だよ。厄介な連中が、物騒な玩具を手に入れたって情報があったからね。他の子じゃ、バレるだろうからって...現代の超絶な化け物級魔女に、さ。帝国から...いや、待て。今は帝国はないのか?」
「もしかして特務機関??!!!」
「ああ、それそれ。帝国の魔女んとこの弟子どもだよね? そこからの依頼で...ボクが遊びに来たんだよ。もう~ひっさびさの外出許可だし、観光とかちょっと羽根伸ばして~とか。そしたら、卵産みたがってるラミアちゃんの匂いを感じたんで...ハシゴしちゃいました!!!」
はい、おバカ発見。
いや、まてまて。
バカは良いけど、破壊工作とか言ってたな。
「結局、何やってきたんだよ」
「だから破壊工作。誰かには故意でも、どんな人も『アレは不運な事故だったね』って言って貰えるような、破壊工作。そんだけ言えば、検討くらいは付くんじゃない?」
く~。
この人はなんで諜報員してるんだろう。
いあ、ぴんく☆ぱんさーが狂人揃いなんだ。
この人も、あの中ではまともなほう。