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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
2033/2367

- C 896話 ルビコン川のほとりにて 6 -

 上階の騒ぎに誘われるように。

 アリス・カフェインが貸し切りの1フロアへ足を踏み込んだ。



 階段を登り終えると、

 周りは固く閉じた扉が多数ある――廊下の端までに左右で5部屋づつ。十分な、広さと容量のあるような雰囲気の物件で、娼館でなければ宿屋でも良かったくらいの造りだ。いあ、甲蛾衆が購入した時も前のオーナーはホテルの経営者だったから、風俗店になってしまった事にしょげてるかもしれない。

 まあ、あれだ。

 ホテルだった時は、そこそこ内装も小奇麗で、宿泊代も高かった印象。

 そんなんだから無政府状態になった後の物件は、泊まる人も居なくて荒れちゃった訳だ。


 さて――。

 左右の扉がゆっくりと開かれると、強面のお兄さん方が出てきた。

 黒っぽいスーツに左肩がやや下がっているような雰囲気と、胸の不自然な膨らみ。

 いかり肩の体躯、筋肉質なのは首の太さで分かるし。

 顔の骨格も四角い方で。

「これ、ホスト? ではないよなあ...」

 独り言のような呟きが漏れて、

 アリスさんの胸を指先で触れてきた。

 アリスさんも自分の胸に指が当たるのを見て...

 制止させるように伸ばした腕を掴むと。


 目にも留まらぬ速さで捻り落してた。

 合気道のような投げ技のようで。

 屈強な男が足元に転がっている。

「はい、いっちょ上り!!」

 未だ、何かする?的な睨みを利かせた。

 ラミアに吸い付いている優男げすの背に立つ、黒いスーツの男たち。

 まあ、ボディガードなんだと思うけど。


「アリスさーん!!!」

 リリィが気が付いて叫んでた。

 いあ、この場合は相手に()()()()()()()()()にささっと近づいてだね。

 ラミアを搔っ攫うのが有効な手段なのだけど。

「ちょっとー」

 優男も背後で騒ぎがあったのは気が付いてたし。

 警護は現地の警備会社に依頼したものだ。

「ん~ちゅばちゅば、美味しいですねえ~少佐?」

 口がふやける~って叫ぶ彼女を弄んでいるような雰囲気。

 事実、遊んでるんだろう。



 対峙する両者と、優男。

 ラミアに絡みついて「なあ、観念して俺の子を産んでみないか?!」なんて口説いてる始末。

「ちょっと聞いていいかな?」

 はい、アリスさんと質問を快く聞き届ける優男。

 屈強な警備員の垣根の奥から、そんな許しが出た気がした。

「さっきから気になってたんだが...私ら初対面な気がしないのはなんでだ?」

 ああ。

 リリィは小首を傾げてる。

 勘のいい子なのに。

「店長を名で呼び、階級も知ってるとなるとどうも、界隈に詳しいという訳だが。防諜の...じゃねえよな? だとすれば今ここに立つ警備員は白服の手の者だって事になる」

 優男が垣根の隙間から、仰け反り、身を乗り出して。

「まあ、確かに」


「そんな他人事のように」


「いあ、実際に他人だからヤツらと一緒にしないでくれ」

 あ、そう。

 嫌らしく弄る手や指。

 ラミアさん、一生分のマッサージを受けてますよ。

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