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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
2024/2356

- C 887話 王国の行方 7 -

 ま、そりゃそうだわな。

 試験管の周りには大層な機械が繋がってて。

 遠巻きに姉を探す子供があった。


 死体袋へ逆戻りとなった寧景さん。

 それを見送った寧懿さんは複雑だった。

 そんで...


「な、なんで、なんで?!」

 まあ。

 取り乱すわな。

 手を振る幼女に、惚ける寧懿さん。

 いあ、手を振り返してる。

『どうだ、寧懿。ふっふふ~ん、これが私の身体なんだぞ! そして見よ、みごとなピンク色なのだ』

 おい!

 部屋にあるすべての人々から、同じツッコミが入る。

 女の子が花弁を広げるんじゃありません。



 まだ、状況が飲み込めてない寧懿さんだが。

 百以上の歳の差がある姉妹で、かつ、見たこともない幼女が...。

 いや、海エルフ族の15歳と言うとあどけなさが残る――ケツに蒙古斑がびっちり残ってる感じの幼児体形なもんで。

 ヒト族で言うなら、正に幼女然であるのだ。

 で、寧懿さんなんかは。


「ヒト族で言えば、そうですねえ。ざっと三十路手前ってトコでしょうか?」

 ほらって試験管の中から同意を求める声がした。

 黙ってろ、痴女。

「ほーん、見た目はボクと大差ないのにね」


「あるだろ?! メルも言ってやれ、そして現実を思い知らせてやるがいい」

 モルゴースさんのは棘が痛い。

 分かってるよ。

 凹凸の差と、年齢詐称疑惑とかって。

「マルちゃんは可愛いから、全然、問題な...」

 グーで殴られてた。

 モルゴースさんが挙げる筈だった手は、グィネヴィアさんのもの。

「マルの邪魔すんじゃねえ!!」

 おっと、忘れてた。

 ボクは“マル印のポーション”を量産する仕事があった。

 いや、あれは一段落ついてた。


 では、仕事とは?

「お前のことは姐さんから頼まれてんだ。あの人は“よろしく”としか言わなかったが、きっちり()()()()()、大好きなパンケーキを作ってやるから。寧華さんのポーションを取り替えてやって欲しい」

 そう。

 臍のゴマをほじったり、花弁のスミを擦ったりしてたんで。

 寧華さんの水槽はゴミが浮いてたりしてた。


 弄り過ぎなんだよ。

 黙って身体と魂がなじむまで待ってろってんだ。

 聖櫃のメディックルームに稼働出来ずにあった、メディカルポッドはボクが修理した。

 言ってしまうと単純なんだけど。

 精霊炉と同じ理屈――動力になってくれる“精霊”と契約が結べなかったからだ。


 で。

 メルちゃんを代理人として、精霊を()()()()し。

 嫌がる精霊を無理やり重労働に就かせたわけだ。

 炉に行けばバンシーが如き悲鳴をあげる悪霊となっている。

「じゃ、ろ過装置を稼働しますねえ~」

 ごうんごうん機械音が鳴り響く。

 濾過されたポーションは、新しいマナを取り込んだ水溶剤と共に再び試験管に戻される。

 棄てるのが勿体ないからなんだけども。

 ボク個人的には...


 自分の一部なのだから、最後まで面倒見ろよ。

 なんだよね。




「――実のところなのだが?」

 試験管の中で、乳首を摘まむ寧華へ。

 グィネヴィアさんが声を掛けた。

 乳首遊びには目を瞑って。

「本当に玉座には就かないのか? 婿取りなんかは正直、今、それほど重要ではないだろう」

 聖櫃と魔界という二つの勢力がバックアップする。

 神輿は軽い方がいいとは言うけども。

 興したばかりの国家だ。


 経営する者は凡庸では難しく思える。

 例えば、劉備の次代後継のような暗愚とかは――。


「こういうのは摂州王とか、寧懿なんかが御似合いだと思うんだけど...ね」

 これは、寧華さんの本音のようで。

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