- C 886話 王国の行方 6 -
執務室の椅子に深く座り直す。
寧正の食指に冷静と言う魔法をかけて――深く息を鼻から吐ききった。
《仮に辺境公なんてのがなくても、数十キロメートルにも及ぶ海峡と高低差ある断崖は、存在するすべての国境線よりも分かり易い境界だ。戦争の仕方が変わった現代であると言っても、地域の掌握には人手が居るのは事実なはずだ...》
辺境公の裏に隠れてるものとすれば。
東大陸で独自路線で勃興した国家の動向だ。
しかし、先駆けて諜報員を潜り込ませて監察しているわけだから。
《挙兵ともなれば、どちらにも利用は可能だが》
寧正が鼻をかく。
兵を動かすならば海路か、空路。
発掘兵器と言えば、怪鳥ゴーレムか飛竜の出番。
《逆侵攻は可能か?!》
寧正は首を振った。
大きく、ゆっくりだが。
《時期尚早だ。時期? 時、...時間か》
嫌がらせを思いつく。
◆
泉州王さんは、いあ。
寧華さんだな。
彼女は久しぶりに、本来あるべき器に魂を戻した。
還魂術ではなく。
術者としてのマル・コメの手を借りて、だ。
結論から言うと。
泉州王さんの身体は限界だったんだ。
死体から死体へ渡る禁術は、不完全で定期的なメンテナンスが必要。
生ガキ事件は、この禁術のデメリットを見事に引き当てた。
まだ、上級ポーションの水溶剤に満たされたタンクから出られないけど。
己の身体の感触に満足げのような。
いあ、小さな膨らみをまさぐるように揉んでた。
「う、ご、ごほん」
わざとらしい咳だと、ボク自身思うさ。
だってほっといたら試験管内で粗相しそうだし。
弄るのはいいよ、たぶん、馴染み具合を確かめる...ひとつの手段だと思う。
ま、男の人の身体にはいったら、さ。
ボクだって。
たぶん、触ると思うんだよね。
っと...。
だ、だから。
だから...そ、、、、それは、大目に見るんだよ。
『なに動揺してんだよ?』
試験管からの問。
メルちゃんは試験管に張り付いて、寧華さんの自慰をじっくり観察してた。
鼻息が荒いんだけど?
「あ、や、...っそのぅ~」
『まあ、まさか身体に戻るとは思わなかった、よ』
花弁に指が奔る。
ああ、想像した通り...
『これ、指一本も入りそうもねえな』
触れると、痛ぇーんだもんよって言葉が続く。
水溶液の中は少し滑らかに仕上がっている。
ローションのような、そんな滑りだ。
それでも、ダメ?
寧華さんは首を振って。
『こんな状態で腸詰肉がって考えられねえな、まあ、あれだ』
ボクの頭の上に「?」が浮いた。
『王座はやっぱ、寧懿に譲るわ!!』
丸投げじゃねえか。
いや、顔には出たと思うけど。
肉体年齢的に、それと出産適齢期的にだ。
寧華さんの本来の身体は幼過ぎた。
少し、間があいて――部屋の奥から「えーっ!? あたしですかー!!!!」
寧懿さんが叫んでた。