- C 882話 王国の行方 2 -
西大陸は404の奮闘の末に、思惑と違った形で東大陸にちょっかいを掛けられない。
そんな状況を作り出すことに成功した。
と、同時に404は継続して、城州王らの行動の把握が必要になっている。
帝国の魔女が遺したとされる“特殊魔導弾頭”。
ドラゴンブレスにも似た、狂悪な炎を人の手で発生させる脅威の錬金術。
これの出所もラミアらは調べる必要がある。
◇
リリィは、報告を受けてティーカップを、ソーサーに戻すことが出来なかった。
連邦共和国は、試験運用で似た弾頭の開発に成功している。
使われたのは、東洋王国の島だったと記憶している、が。
「本国はソレを否定するよ?」
ラミアがリリィの手綱を握る。
握られっぱなしの義姉ではあるけど。
特務機関へ問い質すことを、諫めたようだ。
「それは?」
「東洋王国のいち皇族、臣下、もとより反抗的な人物に連邦の切り札を切るとは考え難い。...と、なると...独自に至ったという可能性か、あんまり考えたくは無いんだけどね」
ナーロッパが世界の中心であるという考え方は出身者であるから。
疑ってはいないし、魔女の遺産は確かに存在している。
こうした記録は、ナーロッパから離れると途端に少なくなるからなんだけど。
そりゃ、あんな物臭が実験室を出て散歩するとは思えない。
偽物の植物に水をあげながら、
『いつ、花が咲くんでしょうか』
とか。
実に大真面目に肥料も与えてた、残念な子だ。
ナーロッパ以外に出歩くとは...
とても思えない。
あ、むしろ。
師匠たるボクのゴーレム造りとかいう著書は多いと思うのに。
どこが保管してんだよ!!!
◆
カンバーランドに入港してきた貨客船がある。
歓迎ムードとはちょっと違った雰囲気の――それはとてもショッキングな出来事だった。
桟橋が解放。
船から地を這うような寒気が降りて行った。
ボクの目には、この世の者ではない何かが、中折れハットを激しく振りながら。
なんて言うか。
ゴーストたちが、迎えに現れたゴーストさんと共に家路についてた。
「あれ?! ハナ姉たちは???」
暗闇の中から、何かが這う音がする。
ズルッ、ズルッってな具合。
耳に遺したくないのに聞こえてくる恐ろしさ。
そういえば船員だんも見ないね。
「今、降りて行ったじゃん」
エサちゃんが怖いことを言う。
身震いは...
おしっこ行きたくなったわけじゃない。
これは、その。
えっと、そう、武者部類!!
「は?」
何言ってんだ、お前は?的な冷めた視線が突き刺さる。
「部類ってなんの部類よ」
モルゴースさんに乳首を摘ままれた。
「あら、膨らみは残念なのに干し葡萄はいっちょ前ね」
これでハナ姉が異形の姿でもいいから、這い出して――え?
こない、来ないですって?!!!