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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
2017/2357

- C 880話 国内の騒動 4 -

「――《愉快犯フェイカー》より報告です。分断に成功しました」

 蒼銀髪の少女・ユウキがリリィに届けた。

 そのまま、銀髪の少女に招かれ――「肩を揉んでくれる?」なんて頼まれてた。

 ユウキには無いふくよかさ。

 柔らかそうって妄想しないことはない。


 自室で、毎晩。

 なんども自身を慰めてる“オカズ”はリリィである。


 彼女は知ってるんだけど。

 見てると面白いので、焦らしてるだけ。

「そ。あのお姉さんはムラっ気が多くてねえ~ 指示通りに動いてくれたことって、まあいいか」

 そうそう。

 銀髪の少女は考えるのを止めた。

 思考停止じゃなくて気を揉むのを止めた。


 同年代の子は然程、多くは無い。

 しかも殆ど、潜入やら諜報やら、新聞配達に牛乳配達、えっとピザの注文に焼いたりもしてるのか。

 まあとにかくも、だ。

 出たっきり帰ってこない子がリリィの同期であり、同い年の諜報員たちである。

 年間通して出会うのは、同期会くらいなものか。

「何か悩み事でも?」

 ユウキに耳元で囁かれて。

 我に返る。

 すーっと息を吸い込みながら、

「そうねえ、想定外で言うと...《殺戮者マンイーター》がやらかした伯爵の首ふたつ。(目元を摘まみつつ)報告のが正しいのだとすると、全面戦争はシナリオに無かったなあってね」

 シナリオ。

 それはグィネヴィアさんの思惑の話。

 彼女からのオーダーは、単純。

「シナリオ?」


「そ、長引かせておいて欲しいって」

 自室で署名が残る書類と、格闘しているラミアも知る依頼。



 三公同時蜂起による南洋王国の損失は甚大となった。

 かつての協力者だった“亡命政府”メンバーの粛清も終わって、いざ、舵取りをという先での失態。

 辺境公制度は残したくはなかった。

 理由としては、今まさに、だ。


 一度は滅んだ国だから、立て直しではなく。

 建て替えに相当する。

 城州王が統治する国家は、中央集権である。

 東大陸にも同時に国が興ったが、問題ではない。

「西に集中してた分、分散した西大陸の富を一極集中すれば国力は回復し、結果的に短い時間で蘇る」

 その妨げが辺境公制度だと、王は告げた。

 東西大陸がひとつという見方が出来ない連中からすると、東の備えは?

 って声が聞こえてくる。


 そこは、皇太子が。

「新しく国は興したが、どんなに規模が小さかろうとも...侵略戦争ってのは、どうしても国家同士の総力戦になる。なぜならば、一方は“どうしても土地がほしい”、もう一方は“祖国を護るんだ”って意識のぶつけ合いだからだ。気力が尽きた方が先に折れるんだが、その気力ってのが国力だ!!」

 内戦中の南洋王国が今、試されてるとこだけど。

 兵士の士気が重要なように。

 市民の士気も必要だ。


 言っててブーメラン。

 新しい政府と新しい役人たちの顔がお見合いし合う。

「えっと、ではですが...今まさに国王陛下と三公はそのような、状況ですが?」

 皇太子の恐ろし気な笑み。

 寧正の微笑み。

 首の骨でも鳴らしながら、

「ああ、だから勿体ないがひとつ消えて貰おうと思う」

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