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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
2015/2356

- C 878話 国内の騒動 2 -

 新しい州境に作られた赤い帯は、警戒してた両軍の魔法士が発見した。

 夕日でさらに真っ赤に映えた新たな国境線。

 吐気しか呼び覚まさない光景。


 錬金術で産みだされた記録撮影器カメラのはじめは、躯の山からとなる。

「こ、これが?!」

 両軍ともに思ったに違いない。

 誰が先にヤった、と。


 南方は新王家に弓は引かない――申し合わせた、約定であった筈だ。

 東部と北部に同調しなければ、所領と血統は安泰であると。

 そう、この反乱は“八百長”なのだ。



 座り心地が良かったのか。

 ラミアを尻に敷いた、リリィは咳込みながら、呑んでた茶を吹いてた。

 気管に入る大失態。

 なんで気管に入ったのか――《殺戮者》がやり過ぎたからだ。

 咽変えちゃって、口や鼻から水というか、茶が吹き出てた。


 いやあ、溺れるって苦しいんだよなあ。

「頭から真っ黒になって、マフラー代わりに大腸なんか撒いてるからどんな戦場かって、想像したもんだけど。まさか、何?! これ何万とかってレベルじゃないよね!!!」

 リリィだって2万の兵を物言わぬ肉袋に変えた。

 輝かしい戦果であると言えば、英雄だけど。

 見方を変えればただの殺人者でしかない。


 本人も自覚はあるけど。

 にっこにこで帰ってきた《殺戮者ようじょ》には...多分、罪悪感は薄いんじゃないかな。

「州境の更新ですかね?」

 白髪の少女の淡白さ。

 南部の辺境公は疑心暗鬼になってるだろう。

 この状況下で意思の疎通は難しい。

「いや、この状況下でも斥候は出る筈だよ。先ずは事態の把握が必要だから...その上で、どちらかにどう対処するべきかなんて、確認作業めいたアクションが起こされる」

 リリィの目くばせに“白髪の少女”が頷く。



 思った通りに行動してくれるのは()()ことだ。

 想定内って事だし。

 しっかりと両者の情報が、404に集まっている証拠でもある。

 リリィ曰く、メイドちゃんに感謝だよね――と。


 後日、《ドッペルゲンガー》の下にヴェネツィア連邦産の“石鹸”が配達されている。

 勿論、リリィからのプレゼントだ。

 彼女の目利きにより選別された一品。

『ラミア姉さんも、選んでましたがそちらは返品しました。どうかこのトロピカルな泡をお楽しみください』

 なんて、カードも添えられてた、とか。


 さて。

 小屋に集まった斥候は、元から狩猟小屋で肉を裁いてた猟師に一礼。

「奥を使わせてもらうぞ?」

 頷く猟師は目の端へ。

 両軍にとって中立を気取る()()()のエージェントだという。

 ああ、ええと...実はなんだけど。

 南洋王国は、旧王朝を慕う王党派と。

 王家を象徴としてのみ崇拝し、政治は共和制にすべきだとする共和派。

 寧正を信奉する皇族派などが蠢いてる。


 北部と東部の辺境公は、城州王から謀反人というレッテルが張られる以前は中道。

 張られた以後は“革命派”へと変容してた。

 今のところは独立する方向性のようで。

「さて、どちらが先だ?!」

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