- C 873話 それぞれの人々 1 -
ボクらの下へ急ぐハナ姉ら。
彼女らは、船上で死んでた――ひどい船酔いと、食事に当たったっぽい。
無礼講だって言って、生ものを安易に胃へ流し込むから。
食中りになったんだと思うよ。
しかも、酒だ、酒。
呑めるけど、絡んでくるハナ姉と。
静かにちびちびヤる、アロガンス。
ウナちゃんは泣きながら、潰れ。
泉州王さんは、ずっと嗤ってたっていう話。
それぞれひと癖ある連中で――犠牲者も出てる、聖櫃の魔術師とアーサー卿に、ヴィヴィアン嬢。本人たちはそれぞれ、ハナ姉に盃を向けられながらドスの利いた口調で迫られ、年齢的に呑めると知られたクチだ。
あれよ、呑めないボクにだって絡んでくる義姉。
ちょーうざったいし、面倒この上ないハナ姉の催促は断っちゃダメなんよ。
断るなら命がけよ!!
「――逃げんな、そのコップ。酒が1ミリも減ってないよな? 呑んでから席を立てよ」
半分まで飲み終えて、机上へ置くと注がれるし。
注がれた酒を呑まないと絡んでくる面倒さ。
親戚が集まると、こういう手合いが必ず一人はいる。
ボクんとこは、ハナ姉がソレ。
義姉の家人は呑まないのに...何処で酒を覚えたんだよ~
ただ、救いがあって...。
あの一行の中で無事だったのは摂州王さんと、寧懿さんだ。
未成年&慎重な性格が勝ったという話。
◇
前王朝時代に建立された王城は、ルーブル美術館のような洋館だ。
星型の城壁や水路に、幅広の掘りなどは必要なく。
王都の中でひときわ荘厳なつくりの洋館が今、城州王の仮住まいとされてある。
王権が安泰となれば、
今の洋館以上の建築物が... 或いは時代錯誤的な城塞が建設されるかもしれない。
けれども――屋敷の離れに作業小屋がある。
定時報告会と言って、洋館で働いている従業員たちが小屋に集まった。
仮に、守衛が踏み込んできても。
今あるのは菓子に手を止めている不良従業員たちって、トコだろう。
「はいはーい! 報告しまーす!!」
元気よく手を振ってた。
洗濯小屋に配置された少女。
檸檬のように鮮やかな黄色の髪を、ツインテールにした娘。
「んー、はい。灰被りちゃん」
コードネームではなく、ハンティング帽を被ってた子が付けた。
ニックネームのようなもの。
すべての404隊員が作戦名を持っている訳ではない。
年長者か、或いは作戦の現場指揮官の思い付きで、呼称されることがあるという。
「はい、灰被りです! 噂話ですが――」
◇◆◇◆◇
現在の主要な人物たち
【魔界・聖櫃追跡軍】
〇マル・コメ
やっぱ、ボクを先に紹介させて欲しい、な。
本編でも主人公、インドア派でパーカー愛好家のスライム娘。
オリハルコン粘土があれば、ゴーレムを作り出す特異なスキル持ち。
最近は、誰かに吸われたり...
穢されたり、散々な目にしか遭ってないなあ。
〇ハナ・コメ
ボクの義姉。
高身長でスタイル抜群なアウトドア派。
諸事情により最近までリアルはニートだったけど...
ヤる時はヤる女なんだよねえ、この人は。
キレると人をサンドバックよろしく攻撃するので、先ずは猛獣注意で。
〇エサ子
アバターは、ボクと大差ない低身長。
リアルの方は発育中らしい、悔しいよ。
白兵戦のスキルをびっしり備え、黄色い雨合羽に揃いの長靴、手斧の二刀流で戦うスタイル。
ボクは小太刀が獲物だけど、ね。
彼女は大戦斧とか、斧が好みのよう。
ぶんぶん振り回せるからかなあ。
〇ウナちゃん
魔王ウナ・クール。
ボクとほぼ同体格の少女だけど、年齢は三十路っぽい。
本人は三十路手前だと言い張っている。
処女じゃないけど、彼氏が逃げるパターンが多いという。
恐らく下手なのだろう。
交渉も戦闘も相性が悪いので、追跡軍のマスコットである。
〇アロガンス
ウナちゃんとこの魔将。
第一席であり、大将軍らしいけど。
最近は貴重なアホ担当。
戦闘力は高いけど、褌に半ば全裸で、大剣使いっていうネタの宝庫。
方向音痴だってのは最近、発見された短所である。
〇キルダ・オリジナル
ファイルさんのご先祖様。
いや、彼女の召喚剣術ってユニークスキルによって幼女が引っこ抜かれたんで。
あれだ、タイムパラドックスが起きてる訳で。
なんか、いいか。
大事なことでもないし。
糞つぇー大剣士さま。
ハナ姉をもってしても、素手であしらった御仁。
余談だけど。
オリジナルさんのお腹の香りはママンを思い出す。
〇ウサギさん
シーラビット族のウサダ艦長。
愛称はウサギさん。
人参型枕を背負い、兎然としている亜人。
〇巨乳姫
シーモンキー族の王族。
本人の希望により仔細不明扱いに。
ま、自由奔放すぎる、ウサギさんの同期とのこと。
◇◆◇◆◇
とりあえず、今日はこの辺で。