- C 870話 東西対決 10 -
404魔導大隊は、ラミア少佐の下で独立して行動できる存在。
本国・特務機関が保証すれば、傭兵のように貸し出しもする。
今、丁度...クイーンズランド王国に貸与されてるとこで。
成果は上々のようだ。
旧南洋王国統治時代で整備された、ダービーの港街。
人口百万を封じた大都市である。
そんな巨大都市に“娼館”を構えることになった、ラミア少佐。
「相変わらず、こちらに拒否権を残さない当たりの手際の良さに...」
「感服ですか? それは、ありがとう」
皮肉たっぷりに帰ってきたボールを投げ返す強かさ。
彼女の前には、ゴスロリ衣装に身を包んだ。
アリス・カフェインさんがあった。
やっぱりこんなトコにも。
「いやあ、褒めちゃいないんですけどね」
「分かってますよ」
さわやかに、それでいて刺々しく。
おのおののトップ同士の睨み合い。
娼館が隠れ蓑はよくある。
従業員もシーフギルドを介して集められた、いわばプロの方々。
あ、まだギルドあるんだって思った?
そ、まだある。
300年前とは佇まいが変わったけども。
やってることは変わらない。
冒険者ギルドは、傭兵ギルドってのに統廃合された。
各国の軍隊が強くなったので、冒険者の仕事が雑用にシフトしていった結果。
世界ネットワーク規模の雑用処理なんて...
ないも同然になる。
あと、シーフギルドも変化した。
あそこは仕事の斡旋と、人材の紹介で成り立ってて。
えっと...スカウトとかハンターを専門で各国に売り込んでたんだけど...。
自前で諜報員を持つようになったんで、半ば廃業だ。
新しく立ち上がったトコで言うと。
錬金ギルドか。
150年くらい前になるし、魔法士とか魔女なんかが登録している。
国家に縛られないノラの集団で、主に個人レベルの研究を追及しているとかで。
わりとネットワークも広いようだ。
で、話を戻そう。
「ベタな隠れ蓑でしょうけど。これがまた、安全なんですよね」
政府高官あるいは、役所の中堅を骨抜きにすればいい。
娼館の主たるものとしてハニートラップだ。
いいなりの味方は多い方がいい。
「クスリも?」
甲蛾衆なら媚薬から麻薬も扱う。
404は毒薬は扱っても、隊員でハニートラップが出来るほど、器用じゃない。
ラミア自身、そっち方面に疎すぎる。
「媚薬程度の話で耳まで赤くなりますか?」
「わ、わたしは...そ、その苦手なんだ、そ、、、その手の話が!!」
少佐、わーって奇声を上げて目の前の机に頭突きしてた。
樫の机に凄まじく鈍い音が響いた、トコ。