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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
2006/2359

- C 869話 東西対決 9 -

 グィネヴィアさんの仕掛けにより。

 城州王の陣営に流れた情報は、こちら側が意図的に伏せられたものが、集まるようになった。

 嘘の情報でもなく、かといって真贋不確かな、或いは精度不足のナニか。


 南洋王国は早々に、東大陸へのちょっかいを止めた。

 まあ、リソース問題が横たわる。

 すべて撤収するのでは、投資が無駄になるので情報収集ソレのみ残して――対外工作の一時凍結って事態にまで追い込まれた。

 で、二重スパイの可能性は過った。

「本拠地からの情報が不確かになった点を考慮すれば、或いは」

 情報の出所、角度、正確性、深度は10段階で、いずれも5程度。

 精度を高めると数が減る。

 あやふやなものや、疑わしい噂なんてものが排除されるからだ。


 未公開ソースには、それぞれの“想像”、“勝手な憶測”が含まれる。

 新聞などで公表されたソースは、当局によって調理済みの主食が並ぶものだ。

 あくまでも最終的に照らし合わせるフィルターでしかない。

「まさか、送り込んだ工作員を特定してくるとは...。一体どんなことをすれば」

 幹部の一人が、閉口する。

 口を物理的に手で覆って...

「...無いと思いたいが」


「ふむ滅多なことは言えないな。こちらも気を付けるとしよう」

 ふたりは廊下の突き当りで別れる。

 白服の制服に袖を通した、元防諜教導団の幹部。

 現在は、南洋王国・枢密院へと上位互換されたとこ。

 国内のすべてを掌握する組織だが。

《下から上がってくる情報と、幹部で共有する情報に明らかな差分が見受けられる》

 口元に手を当てたまま、幹部は考え込む。

 腰の上で裾が終わる小さな外被マント

 黒革のベルトに提げられた小さな剣。

 儀礼用であるけど、ペーパーナイフ位の使い道はある。


 暫く歩いて――バルコニーへ。

 洋館の南向き、3階から外を眺める。

 眺望は、まあ。

 美しいんじゃないかなって浸る時間は余りない。

 手摺の縁に腰を掛け、

「リリィさんも、ユウキ君も派手にやり過ぎです。さて...」

 幹部の影から、華奢な少女が現れた。

 侍女へと変貌して、再び洋館の中へと消えた。



 404から派遣された諜報員のひとり。

 コードネームはドッペルゲンガーと呼ばれる者。

 性別は中性とされて、どっちつかず。

 嗜好も、まあ、中庸のようだ。

 侍女に合わせて彼女と呼称するとして――


 主な仕事は情報収集である。

 鋼のような心臓と、度胸が必要な最前線の現場。

 彼女の場合は、()()()が飛びぬけて高い。

 狙いを定められた者は、すべてを奪われる。


 洋館の内側を自由に動き回れる侍女の姿がデフォルトで。

 オリジナルなのだけども。

 彼女に見られた者は、廃人となっていることが多い。

 まあ、大概は自殺してしまってるんだけど。

「定時報告会デス」

 ハンティング帽を深々と被った、雑用係がそこにあった。

 大きすぎる皮手袋と、腕を捲っても不格好なジャケット。

 親方からの御下がりと聞けば、「ああ」って納得もしてしまう。

「デ、ゲスって語尾は? 一応、ロールは通した方が...いいと思うんだけど?」

 きぃひひひって嗤い方は変わらない雑用係。

 彼も404が寄こした工作員。

 コードネームは...

 まだ、いいか。

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