表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1999/2361

- C 862話 東西対決 2 -

「じゃあ、こうしよう!」

 すっくと玉座を明け渡した泉州王は、さっと河州王こと。

 女王に扮してた双子の弟君を再び、玉座の前に導いた。

 手を引かれた時までは、何がどうなってるか分からなくて――親王の言いなりのままに動いてた。

皇太后あねの機嫌が悪いんだ。ボクが口添えをしてもいいんだけど、いいや。ここは実子である君たちが、機嫌を直して貰えるように。リソースのすべてを投じて努力してみるというのは、どうだろうか」

 提案ではない。

 目下、盛大な母子おやこ喧嘩のせいで国体が荒れている。

 表向きは男漁りが盛ん過ぎる女王むすめに、皇太后が母の立場で恫喝した構図になってた。

 那岐将軍の反乱も。

 そうした不安定さから生じたものだとか。

 というのが国民の考察なのだ。


「――那岐将軍のは」


「分かってるよ、顛末くらいは。ボクらも巻き込まれたサイドの人間だからね。でも、もういいんだ...この国に未練はないし、おっと、無責任だと罵るのは辞めてくれよ、ボクたちは居場所がなくなった立場だ。寧懿が健気に兵を挙げたけども...焼け石に水だったようだしね」

 その評価は正当じゃない。

 王城守備隊にすれば、精神的支柱にもなってた。

 唯一無二の“元帥”である、泉州王の身内であるというだけでも、ネームバリューはあった。


 そして、期待が強ければ強いほど。

 陣営から距離を置けとも、彼女に教育したのは泉州王その人だ。

「いや、いいんだ。繕わなくても、ボクたちはこの国を出奔することにしている」

 河州王を玉座に沈めた。

 両肩に入る力は強く、立ち上がることが出来ないでいる。

 今、ここで泉州王を止めないと。



 王城から後宮府の皇太后の下へ“詫び状”が届けられた。

 内容は終始、謝罪に似た言葉で綴られているようだけど。

 所謂、降伏の宣言だったようだ。


 姉・寧花の忘れ形見であるふたりの少女ら何れかに、禅譲する用意があるというもの。

 ただし、摂政として河州王が立つというのは外せないらしい。

 その新書を持って参じたのは、泉州王そのひと。

 礼服に袖を通して、冠姿はかなり珍しい。


 礼服は東洋の民族衣装だし。

 軍服姿だった親王からすると...

「似合わないな」

 双方が鼻を鳴らした。

 吹き出して嗤うまで、時間もかからない。

「姉上も、しかめっ面が似合いません。...っ、それと、ですね」

 親王の会話を遮った。

「分かっている。十分承知だよ、王城の連中とお前のことだ、水が合わないのだろ? だったら、後宮府に居を構えて」

 皇太后の会話に咳払い、彼女がソレを遮った。

「ぜんぜん、分かってませんよ。水が合わないのは、姉上とでも大差ないんです。放浪癖があるのは何も、病気って訳じゃなく...王族の末席が、ボクに合わないだけの事。まあ、他にも気分を害していることで言えば、王族の男子が種馬程度にしか見られていないこと」

 まあ、それは東洋の長い歴史での腫瘍めいたものだ。

 傷であったり、病であったり。


 ただ、女王が不慮の事故で亡くなる前に。

 せめて議論でも重ねていれば。

 こんなみっともない政争に成らなかっただろう。

「では、残らないのか?」

 皇太后の問いに、広角が挙がる。

「ま、ええ」



 とりあえず、泉州王ら本隊を迎える準備が整った。

 クイーンズランド州だけに留められた支配なのだけども、盤石かと問われると。

 モルドレッド卿が“くの字”に曲がってた。

「モルゴース姐と、グィネヴィア(宴会)部長は()()()()?」

 おっと、メルちゃんがフラグを立てた。

 そんな細い苗木なんて、簡単にへし折られるのに。

「あら、メルちゃんは面白いことを言うのね?」

 ほら。

 こういうタイプの人は怖いんだよ。

「マルちゃんも同じとは驚きなんだけど?!」

 なぜだー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ