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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1959/2522

- C 829話 皇太后の戦い 9 -

「引導か、らしいな他人事だが。この役目はべつに誰でもいい...寧雄が寧花のフリをしていると、今なら世間に流布しても、ふふ。王都でこんな戦争ごっこをしてるんだ、察しのいい市民は真実だと受け入れてくれるだろう。彼らには王朝が何を大事にしているかなんて、どうでもいい事だからな」

 復讐は果たされている。

 寧花こと、現女王体制がすでに絶たれていることで。

 それがどのタイミングで公開されるのか。


 王朝の()()()が次の段階へ進む。

 系譜図には、女性の名が刻まれてきた。

 女王の国だからだが。



 そこに前女王の()として名を刻む。

 あたらしい時代の幕開けを迎えようとしている――その前に排除すべき者たちがある。

 それが彼なりの引導だ。

 身内だからこそ、身内でけじめをつける。

「先ずは、後宮に匿われている二の姫らだ」

 マーカスにある姫皇子の生死は、諦めたと見ていいだろう。

 これは城州王の反乱なのだから当然だ。

 皇子から王位継承権を破棄させてある。

 政府が機能回復すれば、直ちに施行させられるよう書類の手配も済んでた――その資料室に黒蜘蛛らが潜り込んでた。

「表に出ないものはすべて、ここにありそうな気さえする」

 不知火は引き出しを引くたびに零す。

 黒蜘蛛だって、似た気持ちだ。

 手元の資料には“被検体A再生計画”ってある。

 複雑な気分だけど。

 表紙を捲る勇気がでない。

「どうしました?」

 甲蛾衆のふたりが幼女の両肩に手を――

 優しく介抱する。

 察したのだ。


 彼女の記録がそこにあったと。



 黒蜘蛛のクローン計画も、アンチエイジング計画もマーカス学園都市で、循環された技術ものだった。

 帝国の魔女との関連性は、この資料室を漁れば出てきそうだけども。

 ぱっと見では流石にたどり着けそうにない。

 ただ、凄い執念で技術を磨いてきたことだけは分かる。

 外法の宝庫だ。

「不知火さん」

 膝を抱えて蹲る幼女に支えを。

「このふたりを無事に脱出させないと、子蜘蛛たちにも会えなくなるぞ」

 少し意地悪な言い方だけど。

 彼なりの励まし方だ。

 彼女の尻の形は、良かった。

 さわり心地が良くて...

 運動量のわりには柔らかい。

「な、なんだよ」

 ジト目の黒蜘蛛。

 抱えようと、手を伸ばした先に尻があるだけで。

 別に他意...

 いや、もう一度。

「もう、いい!」

 彼女は立ち上がり、雲雀らへ。

「弱音を吐きそうになって、ごめん。もう大丈夫!! 今は、過去の自分に嘆く暇はない」

 確かにそういって決別した。

 右の拳で頬をなぞった訳なんだけど。

 そこに涙が乗ってたかは分からない。



 キルダさんが寄こしたのは、ペンギン型ゴーレム。

 怪鳥ゴーレムの収容力よりかは、いささか多いだけで寿司詰めでざっと...

 5百人くらい?

 重装備で箱詰めされる兵士の苦悩は無い。

「脇が、目に、目にぃ~」

 これは、まあ...お約束だ。

 むさい男衆がひとつの容器に押し込められたら、地獄だ。

 地獄じゃない光景があるとしたら...

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