- C 823話 皇太后の戦い 3 -
「さあ、特にありませんが。期待は出来ますね、ウナちゃんが大事か...義妹も気にかけて貰えるのか」
義姉は綴り、
「魔界軍にとってデメリットだけでもありません。逆に考えてみてください...今、聖櫃の精神的支柱が誰と共にあるのかを?!」
キルダ本人から、
「策士だな」
って、誉め言葉が吐きだされた。
いやいや、相当に怒らせた後で、そんな言葉を引き出したのだ。
ハナ姉とキルダ・オリジナルさんとで戦っても、義姉の勝てる確率はゼロだ。
例えば殴り合いでも、勝敗に影響はない。
サシで叶う者など、時間軸の違う本人同士位なものだし。
魔界に残ってる、キルダ・ファイルさんとて、すでに剣星となった彼女とは“いい勝負”が出来るだけだろうって話。
そんなサシじゃ勝てない相手に喧嘩を売る。
買って見せたキルダさん。
「だが、義妹には魔術の才はあっても...腕っぷしは大したことないのでは?」
ふふ、よくわかっていらっしゃる。
ボクも短剣術くらい齧った程度なら、スキルで少し。
「問題ないでしょう。魔術師殿がこちらに居られるので、未来視の魔眼のような先読みスキルは、誰も持っていません。仮に騎士のような真似事、私たちの障害になり得るかどうか」
真似事って。
流石に数で来られたら、ボクでも。
「歴戦か」
「裏切る事もあるのか?! ハナ殿は」
魔術師が身構えてるけど。
他の騎士とくに、熾天騎士は少し趣が違ってて。
わりと冷静に、ハナ姉の一挙手一挙動をみてる雰囲気だ。
過剰に反応することは無かった。
「魔術師。なんつうか、こまけぇ事は分からねえが...」
アーサー卿として騎士団を纏めるリーダーは、無性に脇を掻きながら。
「あいつらは、よ。今、交渉中なんだとおもう、...っぜ?!」
脳筋は黙っとけと、魔術師に吐き捨てられてたが。
副総長のヴィヴィアンと、モルドレッド卿も納得したようにハナ姉を支持した。
女同士の裸の付き合いも満更じゃない様子。
◇
布哇浮島の撤収作業は、総長の主導で進められてた。
ハナ姉や魔術師の指示はなく。
普段は、政治に関与しないメルリヌスらしからぬ行動であるという。
「らしくないって事?」
ボクがいう事ではないが。
使徒騎士出身のパーシヴァルというおっさんから聞いた。
丁度、昼時なので“おっさん”が朝に打った“うどん”を食してるとこ。
器はなんつうか“聖杯”って。
どんぶりだと思うんだけど。
ステータスデータ付きのネームドアイテムは久しぶり過ぎる。
内容は、こうだ。
“聖杯”で食したものには鎮静効果と、治癒効果があるのだという。
ふむ。
不老不死なんてあったら戦争が起こりそうな予感しかない。
まあ、何個もあるみたいだし。
量産品なら破格かも。
「基本、ぐーたらだからな」
メルリヌス、彼女の一片はボクの扱いで知ってるけど。
どうも似た者同士に思えてきた。




