- C 821話 皇太后の戦い 1 -
10日かかる時間的な理屈は、浮島にある精霊炉の出力に応じて計算されたもの。
召喚された精霊とは、便宜上、快適な労働規定が組まれているため。
単にエネルギーの塊として見る事が出来ない。
しかも、条件として提示した以上、契約の一方的な破棄は今後の再契約に大きな禍根を残す。
と、まあ。
色々あるんで...
王都からは目と鼻の先に合っても、浮島が“動きたくない”と駄々をこねれば。
まあ、あとは海流か風の力で...
まったく非効率的にもほどがある。
「ああもう、面倒だなあ」
東洋で使用されている精霊炉は、すべて聖櫃からの提供品らしい。
そういえば、潜水艦にも載ってた気がする。
「どうしたの癇癪?」
仰向けのボクは、無機質な天井を見てる。
今、左の腋の下がヨダレでぐしゃぐしゃだ。
嗅ぐだけじゃなく、舐めるとか。
どんだけ変態だよ。
「その変態さんがすることに身じろぎもしない子は?」
ボクです。
とにかく。
精霊炉の都合によって、浮島を。
ベースキャンプを棄てる羽目になったのは、間違いなく失態だと思う。
「布哇浮島はベース足りえないのではなくて?」
反乱の後始末は終えた。
造船区画の被害は甚大で、新たな艦船は建造できないらしい。
これも反乱したサイドの工作だったようで。
復旧は見込みが薄い。
とは、布哇だけの話。
「リソースを裂いて取り返したのにって話。大鳥浮島はまあ、別物かな...」
最悪、布哇を切り離しても元々、摂州王の指揮下にある。
とりあえずのんびり、ついてくるだろう。
要は、強制的に指揮下に置いた布哇がまた、反乱しないか。
そこが問題。
「そう?」
「そうなの!! 後ろから撃たれたら目も当てられないじゃん!!!」
唇の前にひとさし指を立てて。
メルリヌスさんは、
「そっか、じゃ。沈める?!」
物騒なことを言う。
腋の下を舐めてた変態が、だが。
それも考えはした。
エネルギー体でしかない精霊を酷使すれば、もっと早く行動が出来る。
それが出来ないならとも。
いいや、それは無理だ――東洋王国人から恨まれる。
布哇浮島の目的は『農政事業』なのだ。
ここで採集できる農作物は、海底都市の人々の生活、いあ生命維持に関わっている。
これを沈めることは容易くはない。
「そっちの方が面倒。じゃあ、しょうがないからマルちゃんが統治しちゃう? いいやもっと、そう改造しちゃえばいいんじゃない」
ボクが?
カイザーヴィルトからの統治。
考えてもみなかったことだ。
聖櫃の中枢から?
メルリヌスの方は、まあ。
微笑みを浮かべて口を吸いに来た。
ボクはなんでか蹂躙されっぱなしなんだけど。
こういうのはご無沙汰のような、浮気のような...




