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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1947/2519

- C 820話 王都の戦い 10 -

 仰ぐ、俯く、振り向く、二度見する――

「何してんの?」

 ボクの奇妙な行動に対し、不遜な態度のメルリヌスがそこに。

 納屋の隅で、ゴーレム設計してたボクを。

 彼女は何の躊躇もなく、カイザーヴィルトへ運んでた。


 あ。

 もちろん。

 話し相手であり、愛玩であり、アロマキャンドルみたいな扱いが入ってる。

 だけど...

「語彙を高めようかと」


「えー、無理じゃね?!」

 ぐっは!!

 えぐられる痛み。

「そこはもっと」


「今更じゃね? で、いいのかな」

 もっと抉られた。

 こう真平なとこを底が見えるまでって――。

 ひどい、ひどすぎる。

 おいおい泣き始めたら、

「先ずは、嗅がせろよ」

 って襲われた。



 盤上を叩くのは魔術師。

 彼は、保身から焦ってた。

「何が、いや、どうしてだよ!!」

 盤上の駒のほとんどが、叩かれて退場してしまってた。

 城に残る僅かな兵と、城外にあるマーカス兵くらいは、盤上にある。

「いや、単純な話だけど...城州王本人は、マーカスの残ってるって事だよ。これまでの反乱は自らが先頭に立って、悉く失敗してきた。経験則から今回も躊躇するんじゃないかって、考えたんだろう」

 冷酷になり切れなかった、甘さ。

 那岐将軍は攻め手において力量を発揮するタイプ。

 これまでの冷遇ってのが、彼に任せず守戦を敷いた事にある。

「野放しになった那岐は強い。そう鍛えた()()だから分かるんだけど。ただ突っ立てるだけの案山子なら、訓練通りに腕を前に突き出せばいいって教えれば、宦官だろうと子供でも戦えるようになる。皇太后あねは出した兵の士気を挫いて、退かせてしまうだろう」

 叩いた盤上に拳が。

 ウナちゃんを通して伝言ゲームが奔る。

 もう、彼女。

 FAXと同じことしかしてない。


 エサちゃんは厨房で“おにぎり”を作ってる。

 ボクの分は巨大な三角形で。

 これ、顔くらいある気がするんだが。

 喰わないよ?

 いや、無理だよ。


「10日という期限を縮められないか?」

 後宮勢力が壊滅的になれば、城の兵力のみになる。

 城外にある兵が兵士になる瞬間、1万の烏合の衆が1万の未満ではあるけど、兵力になる。

 ウナちゃんが受けた報告。

「外廷で衝突!」

 という報せなんだけど、この報告で泉州王が唾を飲み込んだ。

「説得では無く、攻撃に及んだのか!? あの皇太后ひとが!!!」

 息子の背中を刺しに行ったという。

 娘を取りに息子を襲う。

 苦悩の末であるのは分かる。

「これが為政者の覚悟か」


「これで泉州王あんたの読みは崩れるのか?!」

 ハナ姉が魔術師を静止させて、問うたもの。

 泉州王の表情は変わらず、こめかみを搔いただけだ。

「結果的に絶望が少し、遠ざけられただけだ。宦官兵の覚悟が決まったら、生き残るためにがむしゃらに動く。そうやって雑兵が兵士になるんだから、ちょっと手強い歩兵と対峙することになる、禁軍兵に同情するよ」


「でも、」


「ハナさん。動ける手段があるのなら島なんぞ」

 浮島を苦労して獲った意味がなくなるけど。

 おいしいお米が食えたし、十分すぎる休息もとれた。

 メルリヌスを聖櫃に返せたので。

「内戦を止めよう」

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