- C 819話 王都の戦い 9 -
さて、王都の戦いにも「終い」が見えてきた。
後宮の中心部に皇太后を示す「金色の錦旗」が掲げられた。
残り滓だと思われてた、後宮軍が動いたのだ。
こちらは正真正銘の武官と歩兵からなる正規軍である。
当初、白服はこの軍を動かそうと画策したが。
女王の威光が届かなかった。
すでに河州王が女王の身代わりとして、城内にあったけど。
本人が「俺、オトコです」なんて言うはずもなく、女王が健在だってことで、国が混乱するのは本意じゃないしから――ギリギリまで暴露するつもりが無かっただけだ。が、王宮と後宮、外廷それぞれに満遍なく女王の権威が届くことはないって事だけは、知ることが出来た。
腐っても、いや、どんな形であれ。
皇太后は彼らの母親だって、話。
皇太后の権力の方が絶大だった為、女王自身も利用を諦めたのだ。
けど、布石は打っておいた。
白服たちの動向が、母にも筒抜けになるように手配しておいたのだ。
理由は至極単純なはなしで、癪に障ったから。
利用してやろうと思ってたのが、されたから。
なんとも子供みたいな仕返しだけど――効果はあったようだ。
◇
後宮から放たれた矢、
軍靴の響きが背に迫る。
那岐が預かる兵は宦官でしかない。
正規軍を相手にどこまで戦えるか。
そんなのは、伍にまで細分化させて指揮する現場の将でもわかる。
これはムリだって。
士気が低くなる。
宦官たちには「これは反乱などではなく、大儀のある戦いである」と諭してきた。
「背後を取られたか?」
って、那岐は陣を敷きなおしてた。
後宮軍が出てくるのは、なんとなくだが察してた。
都市部に上がった火の手を見て。
機を窺ってたのだろう。
「あの城州王の親だな。火の手が弱くなったところで出てきやがった」
宦官兵の包囲はそのままで。
白服の召集した元帥府兵1000は、河州王軍へ向けられる。
兵数は2倍差だが、ぶつかれば五分。
問題は...
「マーカスから持ってきた新兵たちだが」
魔法小銃で武装した学徒兵。
これらが初陣だってのは理解してたし、できれば包囲しただけで実戦参加させたくはなかった。
無血開城が望ましいからだが。
◆
「王都までに約10日。たぶんその頃までには、決着がついてると思うよ」
楽観的な物言いなのは泉州王。
机上の駒の殆どを場外へと押し出して、
やや力なく吐き捨ててた。
「それは城州王の行動が失敗するって話か?」
魔術師辺りは、それ以外に何があるって吐き捨てる。
聖櫃がテコ入れしたから、こんな状況に陥った。
その責任を問われる一戦だけに。
城州王には負けてもらわねば困る立場だ。
「いや、後宮の皇太后が負けるって話だ」
一同が仰け反る大事だった。




