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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1945/2521

- C 818話 王都の戦い 8 -

――城郭の東棟。

 泉州府軍に与えられた拠点のような地だ。

 立地的には悪くはない。

 王城で守戦をするならばと、寧景と問答した時。

 悪手だが悪くないと、唸らせた拠点。


 守戦なのだから、味方の連携は必要なのだけど。

 それは信を置ける、真の友軍であればの話――内側にも敵を抱えるとなると、行動の一部始終が見られる立地に陣を敷くのは避けたいところ。そういう意味で、寧景は「悪くない」と零してた。

 また、府からの兵も。

 寧懿の為に命を捧げられるよう、過酷な訓練で鍛え上げた配下たちだ。

 ()()が何者であるかも、墓までもっていくよう教育してあった。

「殿下?」

 副官のイケオジだ。

 この世界のイケオジ率はわりと成分も濃度も濃くは無い。

 非常に貴重な戦力である。

「火の手により混乱するというのは、寧景おばさまの手には無かったけど。概ね、流れは...問答そのものに近くなってきてはいないかしら? ここまでは良し。わたしのデビューも、難所かと思った謁見もすべて順調。少し順調すぎて怖いくらいだけど」


「そういうものです。また、少し怖いくらいだと、ご自身で自制できるところは殿下の今後、伸びしろを感じさせます。王府を継ぎ、盛り立てていかねばなりません」

 女系王族の系譜が断たれても、王国が続くのであれば。

 王府だって、形かそれ以外になっても、続かねばならない。

 家を継ぐとはそういう事なのだ。



 うって代わって、王城の主郭。

 天守閣みたいな望楼はないけど、そこには4階建ての館がある。

 その周りに3階まで覆った城壁が張られて、いくつかの尖塔が突き出してるわけで。

 銃座や砲座があって、守備兵500の詰め所が、各方角にひとつずつあった。

「――寧懿、ぽっと出のわりに受け答えのよい若者でしたな」

 腰が抜けて動けないという首相が、ソファーの上で木の根のように横たわっている。

 どうも寝返りが打てそうになく。

 陸相と海相が政府内でいちばん若いという事で。

「...うむ済まぬなあ」

 多分、心にも思ってない言葉を口にしている。

 政治家のうち下院の市民代表らは、議事堂からさっさと逃げているだろうし。

 貴族員の連中も。

 たまたま、王城に居た連中だけが。

「取り残され」


「それは、前にも聞いた。(河州王が眉根を上げて、)大臣級の閣僚たちも、ことごとくが王城に居る訳じゃないから、方々に逃げ伸びてるんじゃないかって話だろ? お前たちの悔しさか泣き言か、或いは亡き女王あねに玉座を城州王あにに明け渡して、禅譲させるためにここに居たとか...そういう話なのだろ?」

 親王は手をひらりとひるがえして、

 空を掻く。

「生憎と、それは叶わない話だ。まず一つに、この暴挙は実らない。後宮勢力を舐め過ぎだ」


「そしてもう一つ、余の手駒がひとついつ断言した?」

 耳を澄ますと、

 何だろう声が聞こえてくる。

 包囲網からは相も変わらず、怒号が聞こえるけど――それとは違うようで。

「散り散りになって逃げた議員たちは、おそらく城州王あにのことだ。不要物いらないものとかいって切り伏せてると思うよ。あれはそうやって、人も道具も壊してきた男だ...寧華おばさまが皇太后ははの隣に居てくれていれば、立派な武人になってただろうにな」

 えっと。

 寧華って人は、名をしょっちゅう変えまくっている泉州王のこと。

 今は、寧景だっけか。


 寧華に戻すと、手足が腐り落ちる呪いに罹ってしまう。

 今のところは名前縛りの呪病ってことになっている。

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