- C 817話 王都の戦い 7 -
摂州王さんと、泉州王さん。
魔術師にハナ姉が漸く揃う時が来た――浮島大会合とか、納屋に掲げられた“大看板”。
「あれが必要なのか?」
あれとは、大看板のこと。
へったくそな毛筆で、ウナちゃんが書き上げたもんらしい。
本人は墨塗れになったというが。
書かせて塗れると踏んだ、
アロガンスと言うロリコン趣味の変態が画策したものではないか、と。
「誰かの思惑なんてどうでもいい」
魔術師が吐き捨てた。
彼の視線が泉州王に突き刺さる。
総長メルリヌスはカイザー・ヴィルトへ戻ると、知り合いになった泉州王の話ばかりする。
当然、魔術師としては面白くない話だ。
「え~だって、中身は女の子だっていうし~」
え~だって~じゃない。
外身には立派なエクスカリバーがある。
鞘を求めている可能性だって否定は出来ない。
ま、そこで突っ込んだ話をしたら。
たぶん売り言葉に買い言葉の喧嘩になると予測か、予知。
◇
ハナ姉がタオルで顔を拭う。
すっぴんでも快活で艶のある肌の美人さんだって分かる。
「それは正解。魔術師、お前が大人になれ!!!」
大人になれと言われて。
はいそうですよね、と...恨み節が下がることは無いだろう。
一旦は飲み込んだ汚泥だが。
本人を目の前にすると、こみ上げるものがあった。
その男の嫉妬をもう一度、ハナ姉は飲み込めと言っている。
大事の前の小事として。
ハナ姉も聖櫃の実質なトップが魔術師だと。
モルドレッド卿という少女から聞かされてので、彼女自身の目で見ることにしたのだけど。
《他人の評価なんてものは、本当に当てにならんな》
と、胸中でつぶやく。
落ち着いた印象の紳士的な人物だと評されてた。
が...
魔術師を一瞥し直して、
《...ないな》
思わず態度に出てしまった。
「なんだ今の仕草は?!」
気になった魔術師が突っかかる。
これが紳士的か。
いや、外面がいいだけの若い男だ。
ハナ姉やボクの周りでも、サバサバした男性は皆無に等しいけど。
出会いの少ない関係性から少しでも引っ張り出すというのなら、普段はへらへらしているけど、平時と有事の区別が出来る大人が一人心当たりがある。
エサ子の父だ。
名は――未だ、いいか。
「話が先に進まなくなっている。これ以上、雑音を拾い上げる必要も無いだろう」
ぞんざいに後頭部を掻く魔術師。
くしゃくしゃに髪をかき上げて、
「ああ、分かった。今は、この辺でいい」
納得はしていない。
こういうところでも馬脚はでる。
《どう見ても、ガキじゃないか》
◆
王城の勢力は、泉州王の後継として寧懿の将位を正式に認めた。
政府のほぼすべてが王城内にある。
しかも、物理的に兵も指揮も足りないのは明らかだ。
それらの士気を上げるために、若い将が必要だった。




