- C 798話 城州王と反乱軍 8 -
さてさて、現実だ。
とにかく現実を見るよ。
浮島制圧は怒涛の電撃作戦で行われた。
当然、その指揮も魔術師に由る、チート並みの先読みだった訳で。
まさに彼が居たから成功したと言っても過言ではない。
そうなると。
浮島の捕虜の数も膨大になる。
陸上の治安部隊に、地下施設の保安部隊、総勢5000人近い人々が投降させられたわけ。
その内、一時的に忠誠が買われたものは除外するとしてだ。
大半は投獄されてた。
さて。
誰が焚きつけたのか。
決まっている、一緒に囚われた“白服”の連中だ。
なぜ、始末しなかったのか。
始末する適当な言い訳が無かったとか、そういうものじゃなくてタイミングが悪かった。
これらの反乱を先読みしてた訳じゃない。
が、潔く投降すれば――「活路は見つかるだろう」っていう、ヴォーティガン卿からの助言に従っただけだ。白服の造反は鎮圧されると、見越してたようだ。
城州王には先読みで見通せるわけではないが。
およそ、幾重もの経験と言う肌の感覚がある。
介入されないよう、いくつもの布石を打ってた訳だが。
◇
通路の対面になる場所に出城を置く。
そこにロッカーや机などを積み重ねて、防壁とした。
「通気口からガスが流れてくる可能性もある。防塵マスクや酸素マスクなどを駆使してでしか、凌ぐことはできない。しかし、幸いにも3Dプリンターがあった」
何故か。
手当たり次第に技術漏洩しているようだ。
与える時代を間違えると、戦争どころの話ではなくなる。
世界が一瞬で消え去るかも知れないのだ。
そうしたリスクを知らない筈は無いんだけど。
「ま、今、ここで追及するのは無意味かもしれません」
ホーリーナイツから、指摘された。
確かにとモルドレッドも頷く。
3Dプリンターがあるから、対毒マスクも員数分作ることが出来る。
「この問答が無意味で無いことは祈りたいな」
「そうですね」
と、残して。
通路側で破裂音。
スモーク弾を放ったっぽい。
手りゅう弾のようなものは彼らも使えない。
だって、守備隊も医療区で傷を癒したいからってのもあるけど。
ここ、浮島の水線下なわけで。
壁に傷でもついたら...
水圧に耐えられるかどうか。