- C 766話 マリアナ群島 追撃戦 6 -
「確かに理論上では、です。でも、だからといって希望がないとも言えないのです......大精霊炉の連続運用試験をしていない。正直、怖くて出来なかったといのもあります。(対面の親王がやや不思議な表情にある、恐らく精霊という単語が気になっているよう)...つまり精霊とは、星のエネルギーとか、マナ、魔力的の何かが物質化しているモノを指しています。生物のように感情が豊かで、接し方ひとつで大惨事にもなる危険な存在。と、聖櫃たちは定義したのです」
力説ありがとう。
ボクの場合は、人格を与えたのはこちらがわの都合だと思ってる。
そうでもしないと怖いんだもん。
神がかった、とか。
奇跡に理由をつけるのと同じ理屈だろうか。
「その、あ。大精霊というのが」
「風属性の大精霊から力を分けて貰う代わりに」
これは魔獣や、悪魔の契約と同じ理に基づいて、ゲージに飼われるペットのよう。
召喚術式の基本は隷属させる事。
対等や力関係に上下があったら、そもそも拒否されるだろ。
誰も見知らぬ土地に行きたくはないのだ。
力ある存在であっても。
それを無理に従えさせるのが召喚術である。
ま、少なくとも...
過去の旧時代文明は、あっちこっちで強制召喚しまくった。
呼ばれる者に拒否権がない。
トイレの中だろうと、入浴中だろうと、或いはベッドの上でハッスルしている最中でも。
呼ばれたら隷属呪文が課せられる、地獄。
だから滅んだとも。
おっと...
「――大精霊には、かなりのストレスにあると思いますが、アレの興味を引き続ければ――」
飽きさせないって凄いけど。
常に新しい発見を促し続けるよう対話しようとする根気にも、賞賛の拍手を。
阿保らしい。
結果的にはファンブルが出てる。
出目の悪さは、ランスロット卿のよう。
湖の乙女という名からしてだが。
王の妃に恋をして、
NTRよろしく連れて逃げる際に、友や弟子を殺していった。
そんな不運な男の話。
いや、彼の脳は下半身にあった説。
「では絶望的では、ないのだな」
うん。
まあ、絶望のソレは回避できた。
ボクの技術で...。
今も小精霊を強制召喚して、プチ殺して回っている。
仮に妖精界なんて座があったらば。
マル・コメという者は“大虐殺者”という二つ名とともに、お尋ね者になってるんだろう。
いあ、ヴィラン最高!!!!。
うーん。
ボクのストレスがMAXになる。
◆
艦内放送とともに、中規模から成る艦隊全体によく通る声が木霊してた。
本人は仁王立ちした巨躯の持ち主。
身長はゆうに3メートルを超え、体重も200キログラム以上。
脂肪率は低く、筋肉量の多い獣人族。
たしか...海熊族とか。
可愛いつぶらな瞳を隠すために、いかついサングラスをかける。
口に爪楊枝ばりに刺さる竹串。
トレードマークのよう。
「さあ、諸君!! お祭りに行こう」