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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1892/2354

- C 765話 マリアナ群島 追撃戦 5 -

「対艦砲撃戦よ~い!」

 ケースメイト砲郭のガンデッキに、独特な抑揚を持つ言葉が飛ぶ。

 木箱に収められた砲弾が各砲座に並べられて。

「榴弾に換装よ~し」


「換装よ~し」

 てな具合に、つぎつぎにあの抑揚が繰り返される。

 射撃よ~い。

 射撃かい~し...まで続くんだけど。

 これのリズムがはじめは聞きなれない分、気持ち悪いというか。

 くすぐったいんだけど。

 馴れると、自分でも何となく叫びたくなというか。


 ま。

 不思議。



 今までの、そう。

 怪鳥ゴーレムを逃がすための砲撃は、訓練弾頭に装薬を詰め込んで撃ち出してたよーな。

 そりゃ、当たればタダでは済まない運動エネルギーがかかってる。

 やわらかい装甲ならば、あるいは過貫通も。


 人に当たれば、ミンチ。

 あ、いや。

 ハンバーグ喰えなくなるなあ。


 対艦射撃でも、直撃は避けて砲撃。

 そりゃ、主役がウサギ艦長らじゃないからだ。

 誰か?



 “大鳥島ウェーキ”の浮島へ、聖櫃の暗号文が届く。

 島のコテージに身を寄せてた、泉州王とメルリヌスの下にも暗号文が届く。

 もっとも、これは総長だという彼女の試金石。

 解けても解けなくとも、大勢に変化はない。

 斥候い出ている潜水隊からも、同様の接触があったことが伝わってたからだが。

「これは...」


「良くない事か?」

 メルリヌスは首を横に振る。

 むしろやや、雪解けのような笑みが見えた。

()からのようです」

 ほうって。

 ボクも同様です。

「“湖の乙女”号がこの付近に。元は、“布哇ハワイ”の魔術師ガントと合流すると...説明してくれていますが、潜水行動が長く」

 で、紙片が彼女の足元にひらり。

 泉州王が拾い上げても、読み方が分からないからさっぱりだ。

「で?」


「もう2週間ちかく潜っていると」

 大丈夫なのか?!って声をかけてやりたいのをぐっとこらえる。

 それは焼け石。

 技術と知識のレベルが違うのは、いやというほど分からされている。

 陸上を疾駆する装甲のお化けの構想は前からあった。

 けれども、きっかけにたどり着く前に計画が白紙。

 この繰り返しだった案件を、彼ら聖櫃は見事に復活させたのだ。


 こちらの想定よりも高い位置にまで押し上げて。


 戦車ばかりでなく、

 軍艦もだ。

 鎖国をしてたわけではない。

 結果的に交流が無かっただけ、は言い訳なのだろう。

 工業レベルのテコ入れによって、時代錯誤的な軍艦が1世紀前倒しに進化もした。


 恐らくは、今や東洋王国は世界最大の潜水艦大国だろう。

 ゆえに分かることがある。

 作戦潜航での連続潜水時間は、そう長くはない。

「いえ、失礼しました。取り乱したようですね...私たちの技術をもってすれば、3週間の連続潜水は可能なんです」


「それは、....理論上のでは、ないのか!!?」

 追い打ちではなく。

 いや、やっぱり追い打ちかも。

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