- C 764話 マリアナ群島 追撃戦 4 -
「――つまり、私たちは...せ、いや。東洋王国に抵抗する活動家たちとも、連絡することが出来た!」
げふんげふん、げふん。
咽た。
咳込んだ、ハナ姉が謎理論をぶちかましてるのを知ったから。
何やってんだよ、この人は。
まあ。
奇跡的に合致してしまったであろう、こんな不思議な状況。
ヴィヴィアンさんの目がカッと見開かれてて。
何か、閃きを得たよう。
いいのか、そんな出鱈目信じて。
ボクなら訝しむぞ。
「むむむ、ヤりやがりますね! 参謀殿は!!!」
は?
ハナ姉がまた、参謀?
彼女は嗤いっぱなしだが。
酸素は大切に使えよ!!
てか、防音設備が整ってるからって、大笑いし過ぎだ。
これ潜水艦だぞ?!
◆
水上が賑やかな状況へ。
少し時間を戻すと、ペンギン・ゴーレムはフィズら以外にも飛んでいた。
同時にあっちこっちを、誘導することはできない。
いくらキルダさんが優秀であろうとも、だ。
そこで。
シーモンキー族の巨乳姫が摂州王率いる軍と接触。
聖櫃騎士団だと名乗って、これの説得に貢献した。
およそ、面白そうだと思ったことに対する柔軟性は、魔界一の酔狂者なので。
つぎに十恵さまと、フィズは“大鳥島”の浮島と接触する。
これが泉州王の支配下にあることは、先刻。
摂州王の部下から知るに至る。
しかも、彼らが“白服”に敵対している点もだ。
そうなると複雑ではなく簡潔になった。
キルダさん曰く――「ヴィヴィアン殿との共闘はつまるところ、組織内抗争の手助けってことになる。いや、このまま互いに潰しあってくれるのならば無理に干渉するのは控えたい。そう、控えたいんだ私はな!!!! だが、阿呆どもがアクセル全開で文字通り突貫してくれたお蔭でだが、関わらざる得なくなった。何故だ? いあ、そんなこと余人に分かるはずもない。マル、ハナ、エサの3人なら切り捨てる。そう躊躇なくだ。が、あそこには魔王とその従者がある。魔界の住人を切り捨てるのは、今後の天領体制に禍根が残る、故にぃー!!!!!」
演説が罵声に変わる、5秒前。
ヒステリックに切れる剣星を止める者はいない。
そこへウサギ艦長が立つ。
「やかましいわ、外で吠えて来い」
キッと睨み合うふたり。
この場に武器があったらどっちが抜いてただろうか。
でも、にらみ合いだけで。
キルダ・オリジナルさんが折れるように、食堂を出て――何か壊した模様。
「野郎」
「っ、いい機会だ。方針をこっちから伝える」
“コウテイ・マンタ”重巡航飛行艇の道しるべのことで、魔界から飛び出した時は――
聖櫃騎士団を追うことがソレだった。
彼らには白日の下で“世界を混乱の渦に叩きこんだ”罪の償うこと。
いや、償わせることだった。
が。
信念というか信条を曲げることになる。
「キルダ殿の憤りは理解できる。いや、私も彼女と同じだろう......彼らのせいで友人を特殊弾頭で失った。諸君らも似た者であろうし、憎かろう相手だ。が、経緯はどうであれ...今、魔王陛下の危機であることは間違いない」
そのために出来る手を打つ。
彼らは動いたのだ。