- C 758話 マリアナ群島 遭遇戦 8 -
発令所に上がってたハナ姉は腕を組み、仁王立ちのまま。
静かに目を閉じてて――若干、疲れ気味だったので夢心地に“姉妹丼で、ずんぐりむんぐり”とか意味不明な想像に浸ってたとこ。
はしゃいでたヴィヴィアンに、叩き起こされてしまう。
文字通り、片や腕を叩いてて。
「なあ、これは何処からの射撃だ!」
雲の上からよく撃てるな...とか。
いあ、高い弾道を描いた長射程の~か、とか。
思い浮かぶすべてについて、もうマシンガンの如く問い質してくる。
そんな出来事を思い出すかのように。
その苛立ちをだ。
ボクを吸う事で紛らわしたかった、と。
ハナ姉は赤裸々に告白してような気がする。
「あれは正にナイスバディに成長し、エロく熟した“マル”のようだった」と、深い溜息と共に語ってた。
やや残念そうなのは。
ボクが5年たとうとも、10年でも“まな板”である事実。
一恵さまで手には余る程度だけど、その妹の十恵さまも大差ない。
うん。
ボクんとこの女系は、おっぱいがないんだよ。
◇
さて。
ハナ姉は不意に思い立つと。
カメラブイのケーブルに沿わせて、アンテナブイも打ち上げさせてた。
ヴィヴィアンさんが別の世界に浸ってるのを他所にだけど。
ああ。
ハナ姉の行動には関心が無かったようだ、ね。
「ちょっと、な、にを!!」
通信士の関を奪い、ヘッドセットとマイクが彼女の手の下へ。
当然、暗号文だけど。
「今からプライベートだから、背中を向けて貰えると助かる」
そんな事だったと思う。
気が付いたヴィヴィアンさんが通信士に問うて、発覚したこと。
「ちょ」
「短い分だから、敵方にはノイズくらいにしか分からんよ。ま、仮に不審だとしても...砲撃の精度が増す、そんなことくらいだ」
砲撃と聞かされて、副長が宥めてたヴィヴィアンさんが再燃し始めてた。
「余計なことを!!!」
「いや、事実だから仕方ない」
予備の精霊炉の調整に負われてたボクとコロネさんは知らなかったし。
エサちゃんは食堂に籠ってて。
アロガンスさんの試食に付き合わされてた。
で、ウナちゃんは...
トイレの中で籠城かな。
なかなか出ないだけじゃなく、吐けもしない船酔い。
ああ。
機関室から漏れるエンジン音でふらっと来たんだろ。
艦内気圧による酔いもあるし。
体調が悪くなるのは恥ずかしい事じゃない。
現に、コロネさん以外の409の人々は、新しい装甲車の新しい空間で寝込んでる。
看病に励む同僚たちも、疲労で倒れていくようで。
「空気の配給は無くなったけど、早く浮上して、新鮮な空気が吸いたいね」
なんて口走ってみた。
コロネさんからも同意は得たけど、悪魔呼ばわりする機関室の兵士たちからは――
部外者は贅沢ばかり、屁理屈ばかり、そして卑しい奴らばかりだと罵られてしまった。