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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1882/2354

- C 755話 マリアナ群島 遭遇戦 5 -

 最早、誉め言葉にも聞こえるのだから。

 心地よくも感じるなあ。

「この巨大な炉は、閉じ込められている“()()()”が飽きさえしなければ、理想的な飼い殺しの道具だと思う。...っ飽きさえしなければ」

 この中で一番、小柄で華奢なのはボクだろう。

 軍事訓練だとか、或いは防災訓練だって参加したことのない、ボク。

 聖櫃の連中だってすべてが軍人ってわけで、働いてるわけじゃないと思うけど。

 それでも最低限の教練は受けてるんだろう。


 それは顔つきでわかる。

 あれはエサ子の魅せる顔だ。

 ヴィヴィアンさんも、ハナ姉と似た雰囲気で戸口に立ってる。

 こりゃ、怖いなあ。


 でも...

「――“大精霊”に気持ちよく働いてもらえるギリギリは、おそらく3週間以内。アホみたいに巨大化させたのは、この檻の強度や耐久の不安さからではなく。これら精霊の“()()()()()”に起因する。つまり、聖櫃騎士団きみらは愚かにも、大精霊を従えさせるのではなくお友達になろうとした!!!」

 不機嫌な大精霊がボクの真後ろにある。

 もう、正規の精霊炉から魔力の吸い上げは行われていないんだけど。

 なんか微妙に怒ってるっぽい。



 精霊の精霊らしい“精霊言語フェアリースペル”。

 耳障りで、キィーキィー鳴くのが特徴な高周波音。

 えっと、黒板に爪を立てた音に近い時がある。


 こう背筋が寒くなる、アレだ。

 背中のソレは、こう言っている『契約が満了したのなら、とっとと解放しろ』と。

 エネルギーの分際でよく吠える。

 ボクの心に沸く黒い感情。

 そうした時は、よく表情に出たものだけど。


 ああ。

 やっぱり、ヴィヴィアンさんの後に入ってきたハナ姉に、ボクの悪辣なのが見えたようで。

「マル殿!!」

 イケメン副長さんが、上段から駆けるでもなく降りてくる。

 いい女がいるところには、いい男もいるようで。

 ヴィヴィアンさんとこの副長さんも、芯のある誠実そうな兵士のよう。

「後ろの精霊コレが解放しろと煩いんだけど?」

 そんな会話をするつもりはなかった。

 なんでか口から出た、言の葉は――意地悪な言い方になって。

「お察しの通り、我々はマナの一部で誕生した“精霊”を、エネルギーだと割り切ることはできなかった。およそ何かしらの気まぐれで、彼らも自我を持ったわけだから。せめてその他の解放者同様に、労働条件を決めて使役するという...ま、理想でしかないか」

 なんて至極まっとうな考えの、真面目な回答だった。

 うーん、こりゃ。

 ボクが見誤ったか。



 巨大精霊炉から“大精霊”が、解き放たれた。

 と、同時に2基の予備精霊炉の“小精霊”は金切り声と、断末魔を上げて1グラムも無駄にならないエネルギーへと位相された。これは確かに悪魔の所業だろうけども、その悪魔だってここまで非道じゃない。

 さてボクの改造を受けた精霊炉には常に“小精霊”ひとつが満たされる。

 その召喚術式は、通常に非ず。


「お前の義妹は、あれは恐ろしいな?!」

 副長さんは発令所に戻り、指揮を執り。

 ヴィヴィアンさんはハナ姉と女子会中。

 ボクは皆から『悪魔』と、罵られることに快感を思えてたとこ。

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