- C 751話 マリアナ群島 遭遇戦 1 -
旧時代にあった“南西諸島”。
一応、この近くに海底都市“琉球”ドームがある。
いや、あるらしいという不確かな情報で、当艦のソナー、レーダーのいずれかの技術を用いても見つからなかった、いわゆる伝説の海底都市という事だ。が、遥か上空を飛ぶ“コウテイ・マンタ”級の八つの目すべてが知覚困難なドームの痕跡に気が付いていたという。
彼らがなぜ教えてくれなかったのか。
「だって聞かないから」
拗ねてるように聞こえるのは、真に拗ねているから。
ボクたちは、彼らとの定期連絡を忘れていたんだ。
思い出す者も皆無。
◇
南西海域警備隊――中欧艦隊から発した怪鳥ゴーレムに絡んでた、駆逐艦の所属部隊だ。
縄張りは“琉球”ドームの周辺海域で。
最前線基地は、中規模の浮島“尖閣”だという。
駆逐艦12、水上器母艦2隻を配置している軍艦島。
ちょっと中二病が擽られる響。
「何が?」
ハナ姉なら分かってくれると思うけど、
「軍艦島だよ!」
すんと反応が薄い。
おやおや?
軍艦、戦車、えっと列車砲には興味津々だったのに?
おやおや?
「なんか、お腹下しそう」
食あたりか!
だよなあ~ 美味しいもん喰いすぎて飽きたかー。
ま、あれだ。
ボクたちの遭遇する可能性が出てきたのは、別の駆逐艦。
西南諸島を越えて、
いあ、もうない島々だけど。
そこら辺から、南下し過ぎちゃってて。
東洋王国・元帥府“聯合艦隊”と鉢合わせになった。
カリマンタン島攻略も成し遂げて、セレベス・スールー海域の掌握にも成功した今や常勝無敗の無敵艦隊――ったく安直にもほどがある。
誰が名付けたんだよ...。
◇
そうそうヴィヴィアンさんはマイクを手放さずに、
『――魔術師と通信ブイを揚げて、連絡がついたところだ。(咳払いが聞こえた気がする)魔術師曰く、東洋の施設“布哇”浮島の完全掌握に成功したというのだが、残念なことに。目下、この浮島の機動力では、我々と合流するには今暫し時間が必要となった。ゆえに、自力で当該海域に到達しなければならない』
いい話という内容である訳だけども。
続いて、
『シュノーケル深度まで上がりたかったが、電池がもつまでこの状態の維持が必要になった』
と告げてた。
ボクがハナ姉を見る。
目端にボクの脱ぎ散らかしに酔いしれる、野獣が一匹いるようだが。
その対比はあまりにも深刻で。
「どうしたの?」
思わず場違いのような質問をしてた。
「(ハナ姉は顔を拭いながら)いあ、これから物資の配給性が始まる...ただ、それだけの話だ」
まだ、きょとんとしてるボク。
いまいちこう、心に落とし込まれないというか。
納得できる内容でもなく。
「育ちがいいと、分かり難いか?」
ちょっとカチンと来るけど。
ハナ姉だし、嫌味でもないんだと思った。