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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1876/2358

- C 749話 集え、我が猛者ども 9 -

 王都の海域から脱した、エンカウンターとその()()()は演習艦隊と合流するべく、南下してた。

 目的の海域は“大鳥島ウェーク”の浮島付近。

 演習目的で島の管理者から、再三の要求を突き放してる艦隊がある。

 まあ、そりゃそうだ。


 意図はなんとなく分かる――同じ国の旗を掲げて、少なくとも交信の意思疎通くらいは、応じてくれているのだから。同じ言葉と、同じ文化圏の連中だって事までは――ただし、意図は推測できても行動の予測は難しい。

 警戒を怠ればオオカミに代わるかも知れない。

『嫌だなあ、間違っても友軍に()()()()()しませんよ』

 応答してくれる将校はいつも同じ。

 へらへらとニヤケ面の甘い青年風。

 そんな形でも、三十路は超えた将校だというから耳と目を疑った。

『ああ、一人称ですね。この一人称が良くないんだ...ま、しかしですね、ボクの...コレは直しようが無いんですよね。もう、板に付いちゃってて、ほら。違和感も何もないでしょ?』

 違和感はある。

 が、あまりに容姿が怪し過ぎるのだ。

 交信に応じてくれる者は彼一人だけ。

 他の人間だっている筈なのに、必ず、どんな時でも彼が出てくる。


 例えば寝込みを襲った時でも。

 枕を抱え、ナイトキャップに左右逆の靴とネグリジェ姿。

 今一度、確認のために言及する。

 彼は、男である。



『これでもかなり真摯に向き合ってきたと自負するんですけどね』

 交信相手も二度、礼を尽くした。

 誠実かどうかはアテにはしない。

 ただ、所属の開示を求めている。


 お前らは、海軍なのか...

 或いは陸軍なのか。


 大鳥島ウェーキの浮島管理局から発する()()も、受信する()()も何もない。

 この何もないが怖い。

 艦隊が無線封鎖しているせいとも思えるし。

 ではない可能性も。

『浮島電波塔が正常なら、単に中継塔が近くにない...そんな可能性はどうでしょう?』

 浮島ほど大きな人工島ではないけども。

 中継塔がある巡回島の動きはランダムだ。

 それが移動している間、要は範囲内に収まってないなら。

 まあ、短くて数日。

 長くても10日は無線不能状態になる。

『でしょ』

 癪に障る顔だ。


『これでも夫人の人気はあるんですがねえ』

 陸に上がれば、だが。

 同僚の女性たちからは「嫌、無いです。ありえません、気持ち悪い」なんて散々で。

 いまいち人気のほどが分かり難い。

『素性が明かせない()()は、実戦を想定した演習の最中なんです。ま、じゃあ、これがあと何日続くのかと問われるのも、詮索しないで欲しいとしか言えないんですが。聞いてきますよ、ね?』

 頷く。

 当たり前だ。

 海域の目と鼻の先には重厚なる鉄の城、戦艦が幾隻もある。

 浮島の対水上レーダーに映る光点の数と規模が出鱈目に兇悪だから、不安なのだ。

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