表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1875/2356

- C 748話 集え、我が猛者ども 8 -

 魔術師が“絵”を描くと、

 まるで呼吸でもするかのように、熾天騎士セラフナイツの4人が動く。


 絵図は、こうだ。

 4人は浮島の動力炉、指揮所、環境管理局、武器庫。

 これらをほぼ同時かつ電撃的に強襲する。

 これらは中枢であり、頭脳そのもであるから。


 頭を潰した節足動物は、まず何が最善かに対して、極めて単純に動くようになる。

 この場合のモデルは“ムカデ”なんだけど。

 それぞれの司令塔から、直接、あるいは間接的に近しい組織を調略していく。

 気が付けば、瞬く間に“布哇島”の主要施設を掌握。

 極めて組織図から遠すぎた、沿岸警備隊が港に戻ってくると――桟橋には火器を構えた兵の姿が。

 最初は何かの冗談だろと道化だった者も。

 船から放されたとこで、聖櫃の()()()()()であることに気が付く。



「裏切りか」

 監房の壁と外。

 鋼の扉の外に、魔術師があり。

 内側に“布哇島”管理局長の宦官さまがある――たしか、陸軍の准将相当とか名乗ってたか。

「我々は技術供与をして、その見返りにマナ鉱石の取引だった筈だ。散策中の()を誘拐し、人質にして脅迫したのは()()()であろう? 誰が首謀者で誰の献策であったかはこの状況では無意味である...敏しいあなた方ならば理解しているのだろ?」

 政治の中に身を置いている人間の感覚器官は鋭い。

 故に、各施設から救難信号が出た一寸で状況を悟った。

 島の中央、カルデラ湖に降りてた巨鳥には、島全体で申し合わせてた。


 “触らぬ神に、祟りなし”...と。


 禁を侵したのは白服である。

 同じ組織の者だからと、やはり考えが甘かった。

 もっと強く止めれば良かったなんてのは、後の祭り。

「裏切りじゃないとすると、被害者を気取るので?」

 東洋の宦官は、どちらかと言うと。

 去勢された方々。

 睾丸を外科手術で切除して、生殖機能を奪った。

 貴族の子弟から、市井でも生き難くなった若者たちが門を叩く。


 だから、北天などの宮殿にある宦官となると、少し毛色は違う。

 竿があるから、そうだなあ。

 完全に失ったとも言い難く。

 去勢された馬の如く、気性が荒くないように調整されたと言えば。

 とはいえ、野望も何もかも失った訳でなく。


 それぞれの欲は確かにあって。

 羨望とか物欲に色欲...

 ――権力欲。

「白服とあなたがた、私たちの目から見ると同じ“聖櫃しょうにん”にしか見えんのです。ま、最近ではその白服の者たちが好き勝手されているようですけども。そうなると、この理屈...聖櫃の一部である彼らは誰がしかり付けてやるのでしょうなあ?」

 扉向こうの彼からの嫌味だ。

 手錠に繋がれた宦官の長。

 足枷もあってまるで罪人のようだ。

「で、これはなんでしょうか? 罪人、捕虜...それとも、奴隷?」


「ああ、立ち位置か。どれでもない...現地人は等しくただのNPCだよ」

 俺たちがその立ち位置から解放しなければ、一生そのまま...と、扉に投げかけてた。

 ま、その部屋の宦官には何の話かは、理解できなかったんだけど。

 魔術師の方は酷く疲れた溜息を吐いてた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ