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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1873/2354

- C 746話 集え、我が猛者ども 6 -

 何百発? いや、集中された銃弾が、やや赤みがかった壁のような“()”によって止められた。

 運動エネルギーが瞬時にゼロにされたような。

 いや、今も火薬の燃焼と発したガスのエネルギーで、弾丸は前に進もうと藻掻いている。

 しかし、それを同じ力で押し戻そうとするもので遮られていた。

「これが魔法城壁マジックランパートだ!!」

 魔術師が『滅』と叫ぶ。

 数百の弾丸が消し炭になって消えた。

「悪いが蒸発させた。俺は奇術師の類じゃないからな、こういう方が得意なんだ。...っさて、物覚えが悪い俺に今一度、何が欲しいか言ってくれ。白服おろかものどもは何が遣りたいんだっけか?」

 これは優しく尋ねてる方。

 ま、調子に乗れば...。

 銃弾と同じ末路を千人の兵士と共に味わう事になる。



 そんなごたつきが、布哇の浮島なんかで発生しているとは露知らず。

 聖櫃の総長ことメルリヌスは、清浄油まみれの匂いの中で左右に揺れてた――何といっても、心地よい金属音が聞こえ、どんな香水や香木よりも、エンジンオイルが大好きな変態である。粘り気のあるグリスや、雑味の無いさらっとしたオイルの中でなら、ぐっすり安眠もできる。

「いや、めっちゃ変態かわった娘だな」

 そんなささやかな事で、驚きなさんな。

 機械いじりの好きな女の子だっているって話さね。

 雅な和装に馴れはしなかったけど。

 ツナギが壁に掛かってるのを目撃するや否やで、ひっととび。


 これ、着てもいいですか?

 袖通していいですか、今、パンツ一枚の肌着になりますんで着ちゃいますね。

 なんて早口も早口。

 まくし立てながら、ぽんぽん服を脱ぎ捨てる子がある。

「やっぱ、変態じゃねえか」


「うん。そうだった」

 軍団長も呆れたけど。

 整備班長が騒ぎつかれてて...

「洗濯前だぞ、それ!! 着るんなら新しいのを」

 ビニールに包まれた新品を抱える兵士とか。

 ローテで夜勤の青年兵が「俺のがねぇー!!!」って騒ぐもんまで、一動作。

「へっへ~ん、これがいいんだもん!」

 油まみれの両手で鼻の頭を擦る。

 そりゃみたことかと、黒いオイルが顔に真一文字を描いてて。

「ううう~ん最高! この匂いが最高!!!」

 格納庫に天使が舞い降りてます。



 踊る食堂、凍る沿岸警備兵。

「で、このまま停船してても“こちら”は、構わないんですけど。どうしますか?」

 どうしますかってのは、訓練海域にまで足を伸ばして職務、果たされますかってトコまで入る。

 沿岸警備隊の職域ってのは、王都ドームを中心に半径60海里海中・海上だ。

 エンカウンター号の船尾がギリギリ範囲内にある。

 後進したら、警備兵が脱兎のごとくブリッジに駆け上がって、制止を促すだろう。

 いや身体を張って止めさせるかもしれない。

「いや、いい」

 摂州王のにやけた表情に怪訝な目。

 明らかに疑ってるけど。

 軍人たちの棲み処に4、5人という戦力で飛び込んだ手前、下手は撃てない。

 浮上して、仲間の帰りを待つ潜水艇もまた、人質である。

「今回は、こちらも根回しが必要であった。が、この甘さは一度きりである!!」


「了解した、()()殿」

 返答にやや困った警備兵。

「私は、警部補だ」

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