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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1871/2355

- C 744話 集え、我が猛者ども 4 -

 格納庫にあるふたりの下にも、種明かしのような“烏”からの報告が届けられた。

「謀ったなー!!」

 とか。

 泉州王は壁に向かって叫んでるんだけど。

 艦尾の格納庫から、艦中央部にある士官の食堂まで声が届くわけもなく。

 金属音が空しく木霊してた。


 整備士らからは「何か言いました?」と、質問されて。

 軍団長が「なんもねえよ」返答する。



 懐から銀縁のメガネを取り出す。

 老眼鏡だと、メルリヌスに告げた親王。

「上出来だよ、まさかそう来るとはね。って事は?」

 出歩かないように監視はしているけども、自由を奪っている訳でもない。

 雀卓みたいなのが用意されて。

 パイプ椅子が、それぞれ卓の端々に置かれ...


「この計画ってどこまでがアドリブなのですか??!」

 メルリヌスもいいところ突く。

 どこまでが。

 思いつく限り全部かもしれないけど。

「長孫を担ぎ出したところだろ?」


「いえ、殿下の発案ですよ。泉州王おおおばうえさまをお助けするのは、可愛がってもらった長孫の義務であると申されまして。殿下の側近と“烏”どのらを交えて、入念かつやや緩みのある実に伸縮自在な策でした」

 懲罰軍団が姿を消したのは、政府の意向だろう。

 白服の行動は予測不能だったし、彼らの意に従わない政府は目障りでしかない。

 旧時代の遺産が多い、海軍も。

 陸地もないのにドーム型海底都市のそれぞれに駐留する、陸軍。

 何れは解体されるであろう、予感があったからだ。


 そんな時に手付かずの軍団は危険だ。

 どう考えても、よからぬ使い方しかされないだろう。

「大伯母上かあ、なんか尻の穴が痒くなるなあ」

 親王が身を捩る。

 実際に痒いわけじゃないし。

 彼女の身体アバターは未だ、()()である。

 まあ、その...

 夜の街へと飛び出して、男娼を買ったりしてないってことで。

「でも、摂州王殿下は何処から?」

 メルリヌスでも、皇族五家は給長の指導により修めてある。

 ただ、全部が全部では無いんだけどね。



「ま、恐らくは。ほぼ同時だろうなあ」

 緩急ある策だと言った。

 烏が手配した連絡艇は多数ある――追跡が出来るようにしたのは、恐らく泉州王座上艇()()

 他の連絡艇の航海申請は本物か、或いは私用プライベートという扱いにした。

 これを臨検した、沿岸警備局は当然、海軍や陸軍の参謀本部から猛抗議されてる筈だ。

 彼らは『公務である!』を突き通した。

「気の毒でならないな」


「気の毒ですか?」

 軍団長が湯飲み茶椀を掴む。

 太い腕から生えた大きな拳に小さな椀――おちょこみたいだ。

「気の毒だよ、職務とは言え...本来、怒鳴られるべきは“特高”の連中だろ? 事前に根回しもせず、警備局の上層部を後宮府の太鑑(=宦官の長官)あたりから、顎で動かしたのだろう」

 いうて女王直下の組織。

 元帥府・後宮府・政府と横並びの組織だけど。

 長い年月の末に、この三者の力関係は大きく変化した。

 後宮府と元帥府が同格、政府は後宮府の下についてた。


 あちゃー。

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