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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1870/2354

- C 743話 集え、我が猛者ども 3 -

 連絡艇は、エンカウンターの格納庫へ収納された。

 思った以上に広いし、組み立て式の航空機が20機ちかくあった。

「これは!!」

 聖櫃の総長メルリヌスは、たったら~な走り方で航空機に飛びついてた。

 発動機回りや装備品を熱心に見てる。

 整備兵に「しっしぃー」なんて煙たがれても食いついて放さない感じ。

「班長ー!!」

 この娘が邪魔でーって泣き言が。

 流石に親王は大笑いで。

 涙を浮かべてた。



 喰らいついて放さない雰囲気は、何もメルリヌスだけじゃなく。

 沿岸警備局の方もだ。

 信用したか否かは然程、重要ではなく。

 軍艦が1隻で単独行動していることに、更なる追及の手を伸ばしてきた。

「...ってもなあ、訓練中のことだ。王都から政府筋の将校を受け入れるのに、馬鹿正直に航路計画書は出さんだろ? それでなくとも先の“革命騒動”はわりと有名だったと記憶しているんだが、ね」

 学生運動にいささ手を加えられた、大規模な情報流出事件。

 元帥府の聯合艦隊も、これらの御蔭で“南方作戦”に支障が出ていた。

「准将閣下の懸念も理解できますが」

 結局、警備隊を乗艦させて臨検を受けた。

 ま、全艦を案内したわけじゃなく、するっと流して食堂に通した。

 それでも、ガラの悪い軍人が乗ってるのだけは理解させてある。

「さて、どうも空ぶっているようなのでひとつ、聞き捨て成らない台詞がありましたよね?」

 平文で交信した時のものだ。

 ニマニマしている警備隊。

 かれらを束ねる班長も、似たように勝ち誇っているようだけど。

 一筋縄では。

「“殿下”とはどなたが乗られてたので?」

 連絡艇にだ。

 泉州王とメルリヌスは今も格納庫にある。

 出るなって、懲罰軍団の団長自らが足止めしてた。

「ふーん、そうきますか...どうしましょう?」

 袖に声を掛ける副長。

 やれやれと小芝居ぎみに、佐官の将校服の青年が現れた。

 軍帽は脇に挟み、茶褐色の革鞄を提げた者。

「摂州王殿下?!!」

 呼ばれた青年は、バツが悪そうに微笑んでる。

 額の汗は体質から。

 大の汗っかきなのだ。


 摂州王の長孫にして、齢17の青年将校。

 陸軍士官学校を次席で出て、貴族のわりに泉州王と同じく2年間の実務経験がある。

 極めて変わり者の“殿下”だ。

「いやあ、まさかあんなに必死に追ってくるとは思いもしませんでした。ボク、いえ私の視察内容は公にされることはありません。警備局の方々なら重々承知ですよね? で、申し訳ないのですが...あんな怪しい申請となったのですが」

 恐縮ですなんてセリフが、使い慣れてるのか端々に出てくる。

 苦笑まみれの摂州王スマイルとでもいうか。

 非常に可愛らしい笑みを浮かべる。


 きっと苦労人なのだろう。

「本当に殿下ですか、アレは?」

 やっぱり信用してない。

 疑うのが仕事だから仕方ないけど。

「あちゃあ、ボク...いや、私、信用無いんですね...()()()()

 何を恐縮してるんだか。

 やや耳障りな言葉になってくる。

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