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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1868/2366

- C 741話 集え、我が猛者ども 1 -

 沿岸警備隊の潜水艇がゆっくりと、連絡艇に寄る。

『停止指示に従い停船、ご協力に感謝する』

 マニュアル通りの通信が入り、スピーカーで聞く親王が含み笑い。

 メルリヌスも衣装ロッカーから適当な、女性将校衣へと着替えてた。

 いち兵卒から、秘書官の上等兵へ。

「メルリヌスちゃんは、何を着ても似合うね。うんうん、可愛いなあ」

 茶化すような物言い。

 制服を着ると、こう背筋が伸びるような気がする。

 目の前の将校からは逆の印象があるけど。

 こう、気が抜けるというか。

「そうそう、少しは肩の力を抜いてなさい」


『閣下、呼びかけに応じてくれましたよ?!』

 操縦席の艇長から。

 どうも後方からにじり寄る警備艇じゃない感覚。

「ああ、友軍が来てくれた」



 水をかき分ける音が聞こえる。

「感あり、4軸のスクリュー音です」

 客室から操縦席へ移る親王。

 たぶんじっと座ってられなかったようで、

「後方の警備艇はきっと、慌てふためいている頃だろうねえ」

 悪戯っぽく微笑み、

 鼻頭を軽く搔く。

「どういうことです?」

 メルリヌスも、客室から這うように操縦席へ。

 そこ入口が狭いんで...

 親王の脇下から覗き込むように首が出てた。

「嘘偽りの航海申請ではないってことさ。一応は、それらしく目的があるように見せる必要があってね、ただし、訪問する船の名は()()ではないってだけさ。東洋うちの所帯にありそうでない...そんな感じの艦名にしただけさ」

 烏が申請しておいたのは、南太平洋に訓練にでている海軍艦艇ということにしてた。

 1万トン以上の規模を誇る防空重巡洋艦ラニオンへの視察。

 海軍には計画案はあるけど、白服の横やりにより着手までに至ってないし、そもそも予算や物資が掠め取られているのが現状で。

 政府と元帥府間では、こんな事の為に内戦が勃発しそうな、憂いもあった。

「で、は...何が来たんです?!」


「うん、いい質問だ!! 元帥府で密かに建造して、陸軍特殊部隊に貸与しておいた...ゲイロック級エンカウンター重航巡さ。規模は2万トンを超え、運動性は32ノットを叩き出す。わりとタフな恰幅と、ガチガチな装甲帯で重要な区画を重点に押さえた。まあ、政府には贅沢な旗艦だろうさ」

 元帥府を開く以前。

 泉州王は、その身を陸軍学校に置いてた。

 私兵を持つに至る経緯は後日として、第二の海軍としたのはまあ、成り行きで。

 親王の友人たちは今も陸軍の方が多い。


 で、エンカウンターから...

『殿下。お久しぶりですけど、お時間は丁度良かったでしょうか?』

 なんて通信が平文で打たれた。

 当然、泉州王を追跡している警備艇にも届いたし。

 鼻息も荒くなるけど。

 水上に上がる勇気はない――だって、連絡艇にアプローチしてきたのは4軸もある大型の軍艦。

 警備艇はせいぜい200~300トン未満の潜水艇だ。

 自衛用に艦首に2門の魚雷があるけど。

 とても威嚇になりはしない。


 慎重に行動し過ぎた。

 いや、コーストガードとしては仕事した方だろう。

 あと数キロメートルも前進すれば、公海に出るし。

「やあ、クロワザードのみんな...元気だったかい?」

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