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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1867/2355

- C 740話 王都脱出 10 -

「ったく、何なんだ?! っ、あのゴーレムは!!!」

 領海警備に当たってた駆逐艦が、低空飛行中の識別不明瞭機を発見したのは、数刻前。

 国際基準のオープンな回線を用いて、当該機に“領空侵犯である”と通告して半刻は過ぎた。

 が、返信が無いので威嚇射撃したら...

 爆雷が降ってきたとこ。


 およそ、今、ここ。

「爆雷の接触による本艦の損耗は軽微ですが、こう何度も上空からばら撒かれては...」

 水雷防御装甲の方もガタつく。

「無言でばら撒いてるの爆弾じゃなくて爆雷ってのが気になる、な」

 顔の前で手を揉む艦長。

 一度は、諦めた態で追撃を止めてみたけど。

 怪鳥ゴーレムの方は、低空に舞い戻るとソナーブイを投下して。

 豪快にも情報収集をはじめだしたわけで、慌てて当該海域へと戻ってきたところだ。

「撃ち落としましょう! 艦長」

 砲術長からの進言。

 あちらは撃ちたくて仕方ない。

 威嚇射撃で空撃ちしたから砲身あったまっているし、ややストレス気味でもある。



「なんか、砲術班から“撃たせろ”って呪言みたいのが聞こえてくるんだけど?」

 舵輪を握る副長に泣きつく艦長。

「じゃあ、撃っちゃえばいいじゃないですか。このまま、放置も良くないですよ」

 領海警備に回されるような老朽艦が本艦。

 最前線の駆逐艦と比較すれば、1200トンは排水量が少なく小型で。

 小回りこそ利くけど、単装の120ミリ砲はやや今の状況でも頼りない。

「――言っちゃあ、陸に上がりたかったロートルな訳で。安全だって言われたから引き受けたようなもの...他人ひとさまの頭上から爆雷撒くような痴れ者なんかと、誰が戦いたいかよ!!!」


「それ、ぶっちゃけ過ぎです。同期の小官さえ引く台詞、部下も聞いてますんでご自重くださいますと宜しいのですけど。と、まあ助言いたしますと...爆雷投下しているゴーレムに入ったのは、本艦の...前に出過ぎと言うやつでして、()()をもって大義は得ているものと断言できます」

 船上ではなんか煮え切らない艦長と、イライラしてる船員があって。

 そんなのにお構いなく、爆雷落としまくってる怪鳥ゴーレムがあった。



 泉州王と総長を乗船させた連絡艇は、王都領海の端で停船した。

「臨検だそうです」

 軍帽を深々と被る親王は口端を緩ませ、

「マニュアル通りだな」


「そのようで」

 客室の親王に余裕がある。

 その余裕は、伝染するようで操縦席側にも感染してた。

「浮かない顔のようだ」


「当たり前です! ここに意図しない兵が乗り込んでくるというのでしょう?!」

 そのとおり。

 烏が用意した偽装連絡艇が今、まさに捕捉されたとこ。

 親王は偽装がバレたかもなんて呟いてたけど。

「臨検ってのは“怪しいから行う”もんでもない。一つは時間稼ぎ、もうひとつは嫌がらせの場合が多々。まあ、こっちの方は後者だろうけども...沿岸警備の連中が強制拿捕の手段を行使しない時点で、まだ工作がバレていないと見るかな、半々だけどね」

 半々ーっ?!

 頼れるのか、頼りないのか。

 メルリヌスが頭を抱えてた。

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