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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1864/2358

- C 737話 王都脱出 7 -

「還魂で、魂を別の器に移す外法にはそれぞれ、厄介なことがついて回る。この術が未だに不完全なことであるが所以なんだが...先ず、移し替えた先の器が原形のソレに近く引き寄せられる。魂が記憶しているからとの説が、もっとも有効だろう」

 って親王は、赤面するメルリヌスへ膨らむ胸を見せてた。

 張って辛そうな親王を気遣ったのがそもそもの発端で。

 軍の連絡艇に乗り込んだふたりは客室にある。

 貸し切り状態だけど。

「...っその、下は」

 メルリヌスの赤面は妄想も含み、

「おっと、変な想像をさせてしまったかな」

 彼女の鼻から血を拭う。

 ハンカチが真っ赤に。



 頂いたハンカチで終始、顔を覆うメルリヌス。

 ちょっと恥ずかしいといった雰囲気で、俯いたままだ。

「好奇心が勝るのはもっともだと思うよ。かくいう私も、男の身体だからこそ魂が消滅せずに生き永らえている訳だけども。還魂術で乗り換えた数が多くなったと自覚したところで、この発症だ...今までは百年ほどで変容しかけていたんだけどね」

 やや咳込みながら。

「――っ、もとより気にはしていなかったし。期待もしていなかったが、生殖能力はない...残念ながら、な。元の姿に戻れたならば悔いはないのだがなあ」

 戻れば、即死。

 あるいは腐れ落ちる類の呪いであるという。

 胸を閉じながら、親王は情けなく微笑むのみ。

「聖櫃で、私たちにも診させてもらえませんか?!」

 親王は彼女の頭を軽く撫でる。

「いや、まあ。この危機を脱したら...お願いしちゃおうかな」

 客室にも赤色灯がともる。

 親王の方は、軍人としての直感で察知。

『客室の方々、ちょっと揺れるやも知れません』

 操縦席の艇長からだ。

 潜水艇の索敵器に光点がひとつ。

「降り切れるなら、荒事、構わぬ!だ」



 その頃のボクたちも厄介ごとに遭遇してた。

 白服の暴走は、東洋王国の全域にまで拡がってたようで。

「潜水して領海に入るまでは利口かと思ってたけど、とんだ伏兵じゃないかしら?!」

 揺れる船内。

 耳鳴りで頭がくらくらする。

 今、しこたま爆雷がおとされてて――頭上、20メートル上で猛烈に弾け飛んでる。

「大丈夫、だと思う」

 対物理防御の魔法盾マジックシールドを船体に刻んである。

 改修前よりも当然、改修後の方が物理的にも、反物理でも3層、いや5層増しの装甲帯に。

 それでもぶっつけ本番となると、流石のボクでも自分の腕に自信はない。

「ああ、大丈夫だとも! マルのマイスターとしての適性は誰よりも高いからな!!!」

 ハナ姉は腕を組んで自信に満ち溢れている。

 いあ、ボクの分まで胸を張ってくれてるような。

「どこから湧くのよ、その自信は!!」


「もちろんマルの()()から」

 首筋に吸い付き嗅いできた。

 やー、今、冷や汗かいてんだからー。

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