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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1862/2357

- C 735話 王都脱出 5 -

 泉州王の捕縛についての罪状が張り出される。

 後宮府の禁軍は限定的な動きしか未だない。

 この政策は、現女王と白服による()()()()のもので。


 現政府・首相らは“後宮”の奥にある方に配慮して、反論した。

 人望があるというのは先ず、本当らしい。

 だが、抵抗空しく内閣総辞職となる。

 ま、当然と言えば当然だろう。



 新政府は、現職女王に忠実なる。

 いや、男娼である白服に忠実なる政権の発足――内務省に新設された“()()()()()()”所謂、政治犯なり思想犯や、現体制への批判的な()()の口を塞ぐ徒党が組まれた。

 これに泉州王の捜索も含まれて。

 東洋王国が大きく間違った方向へと動き出す。



 一方、女王。

 後宮で啖呵を切ってみせた彼女だけど、自室に戻ったら急に怖くなった。

 子供のころは、実の娘のように可愛がってくれた叔母か叔父だった――泉州親王。

 皇太后と双子の片割れ。

 そんな人を犯罪者と呼ぶ自分自身に恐怖する。

「如何したのです? 浮かれない表情を」

 ――浮かべてるのは、本人でも驚く勇ましい言動に、だ。

 母が悲しむ顔も、あの時には心が揺さぶられることが無かった。

 ただ、ふと術でも切れたように。

 今ではただただ、恐ろしいとだけ。

「案ずる必要はございません」

 寄りそう男娼。

 女性のように細くしなやかな指。

 気弱な女王の周りで香が焚かれて、

 その小さな身体を彼が覆い包み込む。


 心が病んでる人の殺し文句。

女王あなたには私がついている」



 王都の脱出が困難になってきた。

 東洋王国の都市は、海底に築かれたドームの中に、都市部と農村部でひとつの施設としてある。

 王都はその農村部が4か所あって構成される巨大ドームで。

 外壁の向こう側は、海である。


 故に、決められた港湾施設から脱しないと。

 内圧と外圧のバランスを失って都市は崩壊する。

 王都内を逃げ回る事も可能だけども。

「ではなぜ、そうしない?」

 メルリヌスの当然な問い。

 親王は微笑みつつ悲しみを浮かべ、

「それでは民が傷つく」

 やや怪訝な表情。

 親王が心優しいのは分かってる。

 それでも、

「逃げ回ってる間に、方針が転換されることなど多々ある。私でも、そう()()のだから“特高”の連中も、指揮系統が白服の連中であれば躊躇なく、他人を踏みにじる行為が出来るはずだ!! たとえ女王の心が砕けたとしても、彼らはこの国の権力を掌握した。故に......私が、王都内で逃げ回っている痕跡があれば、躊躇なく流転の民をエサに追い詰めてくるだろう」

 だからこそ、一刻も早く王都というドームから脱しなければならない。

 発足間もない“特高”は、まっさきに港湾施設へ出向く。

 とりあえず、彼らは未だ、自分たちが()()()()()()が出来るかを知らない。

 そこが盲点になると、親王は告げた。

「数々の権限が“情報三部・戦史研究科(=陸諜)”と“秘密警察・公安1~9課”、“都市警察”および“港湾警察”...あと、“後宮警察”も絡んでるな。出来たばっかしの組織にありがちな情報共有、いずれも穴が無いように思えて穴だらけな捜査網。今が一番、すり抜けやすい」

 元帥府も、政府から独立させた組織に至らせるまで、調整の毎日だった。

 どこかで強権に訴える必要はあるんだけど。

 それは今じゃ、ない。

「親王さま、すっごい」


「あ、それフラグ立つから、脱出後に言ってね」

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