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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1857/2354

- C 730話 台州よふたたび 10 -

「で、マイスター・マル?! 工程はあとどの程度?」

 貨物船の中は、吹き抜けみたいな空洞。

 生け簀みたいな海があって、その中に黒っぽい色の潜水艦が囲われているよう。

 風や引き押しの波の影響がない海からのぞく、水上甲板に左右から端が掛けられて――強力な磁石で固定され、すでに多くの工夫が船上を闊歩してた。

 聖櫃の副総長としてはまあ、複雑な心境だろう。

 船内にまで踏みこむことは無い工夫ではあるけど...

 良くよく見れば、すけ口に牙が多数生え揃ってる魚人たちのさま。


 一見すると、

「やだ、こわ~い」

 って声が挙がる。

 聖櫃の桃色可憐な女性たちの声に。

 魚人たちは頬?を種に染めながら――「え、怖い?の、もっと言って言って」と逆効果。

 まあ、彼らにしてみれば、だ。

 恐れがられるという事は、イケメンの勲章に等しいものなのだとか。


 うん、これが異文化コミュニケーショ...

 スリッパで殴られた。

 奇麗に横回転で転がるボク。

 あ、今、海に落ちました。

「ぎゃー!!!! マルがぁー!!!!!!!!!」

 艦尾で作業中のハナ姉が叫び、

 魚人たちが率先して生け簀に飛び込んでる。

 ほら、あれだ。


 みんな、何かに気が付いたんだよ。

 ボクを助ければ“金一封”だと。



「こんらぁ~! ヴィヴィアンがぁー!!!」

 胸ぐら掴んで、啖呵切る義姉。

 その腕をめい一杯に捻る女史。

 ふたりとも引くことのない、脳筋。

「ちょ、ちょっと待ってよ、ゲホゲホ...」

 ふたりともって、付け足したかった。

 そんな雰囲気でもないけど。

 ほっとけば殴りだすだろうし。


 魚人の手を借り甲板へ。

 もう、一張羅の作業衣がびしょびしょに濡れて。

「作業の進み具合が知りたいんでしょ? なんで、ボクを海に突き落とすかなあ。ほら、ちょっとした行き違いでなら予備動作も読めただろうに。マジ、唐突なのはやめてよ...受け身もとれやしないんだから」

 ま、受け身が取れたとしても足を滑らせれば...。

 結果的に同じことにはなるだろう。

 それでも、滑り落ちるのと。

 落とされるのでは覚悟も違う訳で。

「さてと。ヴィヴィアンさんの回答ですが。工程はあと幾分もありません、格納庫の再設計は終了しましたし、別の工房で再調整中の“特殊潜水艇”とドッキングさせたら晴れて、完成になる運びです」

 聖櫃の連中が総じて、首を斜めに傾けている。

 ああ、もう。

 その話、もう一回するのぉー?!



 台州上空に差し掛かる、怪鳥ゴーレムの帰還――さらにその上空には“コウテイ・マンタ”級の巨影があるんだけど。陽光を遮って変な影を作らないよう、旋回地域をもっと北の方へ寄せている訳で。

 まだ、観測中の彼らにはバレていない状況。

 とはいえ。

 観察対象が頭上に切り替わる可能性は、ほぼ無いだろう。

 それこそどこかの馬鹿が、ニアミスでもしてすれ違いでもしなければ。

 そう、そういうところは神さまの賽でも、振り切れない。


 だって、信心深い信者の祈りは。

『ボクたちのホームを攻撃した不届き者を見つけさせてください』だった訳で。

 魔界から来た、ボクたちのことじゃない。

 聖櫃の皆さんの日頃の行いのせいで...

「灯火、捕らえました!!」

 熱源センサーに、感あり。

 機体の首元に設置された首輪がぐるりと回ると、カメラもひとつ切り替わる。

 捉えた熱源を追尾して、撮影するためなんだけど。

 水面が一面に見えていた。

「くぅ、やつらやっぱり潜水してやがるのか!」

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