- C 728話 台州よふたたび 8 -
それからは突貫工事。
水陸両用だった装甲車も、大改修する。
目的は小型潜水艇のようなもので、水中速力は7ノットで走り。
水上では12ノット、陸上では時速45kmの走行が可能な乗り物となる――これらの改修により自衛用装備させてたエサ子用砲台は、撤去される。
で、エサちゃんが拗ねた。
ま、こればかり仕方ない。
何せ潜水艦の拡張された格納庫に入れるわけなのだけども。
浅深度でなければ発艦出来ないってのは、それはそれで致命的だし。
「常設装備から撤去するだけで、陸に上がれば機関銃座の解放は可能だよ?」
大砲は落とす。
代わりに対空も兼ねる13ミリの機関銃を載せる。
7~8メートルちかい巨大さから、6メートル未満の装甲車になる。
20ミリを超えると、徹甲弾とか榴弾なんかでバスケットの容量が必要になるし、車体が短くなのだから武器も小ぶりになって当然。ま、エサ子には悪いんだけど...
「じゃ、諦める」
ふんすーって鼻息は荒かった。
泣く泣く諦めた感じか。
“湖の乙女”号の改修も、ハナ姉が監督するという形で進められる。
電磁カタパルトで射出される観測機ともども撤去された。
「なぜだー!!!」
泣きずれる飛行士。
複座式の航空機の撤去と、別の任務に回される人事異動。
「ちょ、ちょっと?」
ヴィヴィアンから説明を求められた。
いや、工事に入る前、その前にも改修用の具体的な計画書は皆の合意を取っている。
取ってあるからこそ、聖櫃の修繕班はハナ姉の下で黙々と働いているんだけど。
どうした、副総長さん?
「ここにあった、トイレどこにやったのよ!!!」
格納庫に入ったすぐ真横には、男女別のトイレがあった。
タンクが溜まったら、海に投棄してた。
うーん...
「知らん」
ま、ハナ姉は存在を知らないんだから、衝突後にどうなったかなんて。
汲み取ってなかったんだからと、取り下がる感じで噛みついてきた。
あ、ああ。
そうか、タンクの汚物の行方が知りたいと?!
「じゃ、これか?」
投棄弁も壊れてるんで、蓋が外れてるっぽい。
これも格納庫が内側に向かって潰れた原因だろう。
ただただ助かったのは、各部位ごとに単体のブロック構造になっている為、艦内気圧と外圧間の変化で船が壊れそうになると、ブロックひとつを犠牲に出来るシステムだという。
まあ、可能庫はそうして完全に壊れたわけだ。
「トイレ戻して!!」
「え? 今更」
ボクらの装甲車が居なくなったら、また格納庫になる。
ま、今度こそただの物置小屋になるかもしれないスペースではあるんだけど。
「もっといいもん載せてやるよ」
「ほ、ほんとに?」
イケメンであればここで『漢に二言はない』とか、臭いセリフを吐くのだろうけど。
ハナ姉は、
「マル次第だがな」
と、ボクに振るんだよね。