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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1851/2355

- C 724話 台州よふたたび 4 -

「南蛮の自由都市連合で、“クアンタン”。音も似ているから聞き返されるかもしれない。が、まあそこは押し通すほかないだろうな」

 一般的には“南蛮国”ってのは成立していない。

 自由に交易して、自由に生存権を獲得している海賊や悪党たちの縄張り、自由都市連合――それが南蛮と呼ばれる実態だ。それぞれの都市は王国領の中に存在するんだけど、街の成立が無法者のたまり場から発展した経緯がある以上、当局のまあ、お目こぼしとか外交とか。

 よくわからない見えない権力で自治権の獲得に成功してた。


 で、そんな物騒な街へ行くという。

 当然、軍は反対するけど。

「政情不安の国の脇で大集結するってのの方が怖いんですよ」

 って逃げた。

 潜水艦隊司令部のクリスマス島は激怒。

 本国は無反応で。


 ま。

 先行している怪鳥ゴーレムには謝罪が送信された。



 さて、ボクたちは台州の港湾施設のひとつに滑り込んだ。

 潜水艦母艦というのには少し不出来な貨物船。

 もともとそんな使い方ではなく...

 いや、まあ。

 細かい事は言いか。

「ゴーレムの...オリハルコン粘土は仕入れが難しかろう?」

 魚人の翁が零す。

 確かに、台州だから何でもある訳じゃあない。

 が、この街には――。


 施設の端に停泊してた地にレトロな作業車が近寄る。

 ヘッドライトは3点で、明滅してる。

 モールスかなとも思ったけど...

 意味が分からん。

「あれは、悪路過ぎて上下に揺れてるだけだ」

 ハナ姉がボクの耳元で息と声を掛けてきた。

 うわ~ 背中がゾクゾクする。

「車、止まった」

 ウナちゃんも舷側の縁に身体を預けて。

 ぽっこりお腹が手すりに乗ってるようにみえる。

 うーん、この子、運動不足のような。

「あれは幼児体形」

 まただ。

 また、ハナ姉の息が。

「――船の通信士から、台州に居る友人に連絡を入れて貰ったのさ」


「友人?」

 別に忘れた訳じゃない。

 心当たりがないような気がするだけ。

「部長ー!!!」

 ウナちゃんを見て、

 役職を叫ぶ変態。

 はて...

 女装癖でくねる雄...

「アリスさん?!」


「げっ?! マ、マルさんも居るんですか???!!!!」

 物凄く距離が取られた気がする。

 なんでボクの印象が悪くなってるの。



 台州の状況把握。

 現在、北方に建国された“燕”王国と国境を境にした玄関都市へと変化し。

 かつてのような異文化交流圏みたいな雰囲気は無いんだとか。

 また、当然、貿易港としての旨味もない。


 ただ、外国租界は生きて機能していることから、魅力半々らしい。

「物資は...かき集められますか?」

 産業スパイ組織“甲我衆”の棟梁ってのが追加設定された、アリスさん。

 懐かしい顔ぶれではあるけど。

 生き分かれた妹に頬ずりでもするような、アリスさんとウナちゃん。

 ま、ウナちゃんの方は会いたくは無かったようで。

 握られた手や、触られた頬を消毒してた。

「アロガンスよりも苦手」

 まあそんなに邪険にしなくても。

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