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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1846/2354

- C 719話 共同戦線 19 -

 泉州王府に()が舞い込む。

 親王の戸外である密偵だけど、今は、魔術師ガンドとの連絡に使われてた。

 親王だってこのまま終われないんだわ。

 元帥府は取り上げられた。


 皇族かぞくに見放されたとは思ってはいないけど。

 今までのように親身に話も聞いてはくれないだろう。


 と、言うのも――聖櫃の白服ぞうはん組が後宮府と内通してたからだ。

「泉州王さまには辛いお話ですが」

 なんて、前置きされて。

 女王の側近は今や、白服ばかりとなったんだ...とか。

 いや、もっと悪い話も聞いた。

 女王の寵愛を受けた男娼にも、白服の者があるというのだ。

 遠ざけなければ。

 そう、思って動いたらこれだ。


 親王は干されてしまった。

「と、いうと――()()()()()()になるんですか?!」

 わりと素直に、キノコネタから離れられない子がいた。



 親王はひとり嗤い転げて、

「君は肝が据わっているのか、よほどの能天気か。まったくどっちだろうねえ」

 世の中に悲観的だった彼女かれは、どこか投げやりなとこがあった。

 白服が接触してきても、まあ、遊びが一つ増える程度にしか思っていなかった。

 だから破滅的な誘いに乗ったわけだけども。


 国を傾けるのは本意じゃない。

 自問する――じゃあ、破滅的とはなんだったんだと。

「――己ひとりが朽ち果てるのが望みであって、他者が傷つくのは違う事なんだ!!!」

 嗤う亡霊が目の前から晴れた。

 そこにあるのは目が点になった総長のみ。

 宮中衣装の中ではまあ、大人し目で地味な装いである。

「和装の似合わない子もそうは居ないんだが、君はその珍しい部類かもな。ローブ姿の...魔術師だっけか、彼とともに拝謁を願い出た時の洋装。うん、あの甲冑姿の方が様になってたな」

 くすくすと微笑む。

 悪気はないし、他意もない。

 ただ見たまんまの感想で。


 その意を総長も。

「とはいえ、あれ...偽物の甲冑ですけどね」

 コスプレですって言ったけど。

 親王には意味が理解できなかった。

「でも、殿下には助けられました!」


「ほう?」

 自問するほど後悔している親王へ、少しだけ晴れる言葉を向ける。

「私を逃げるのが難しい後宮から救い出してくれました」


「うん」

 確かに一時的な救出になるかも知れない。

 烏たちも、連れ出した王府へ追手が差し向けられたことを告げてきた。

 泉州王に害が及ぶことを恐れてた。

「以前、君の価値は高いようだ」


「でしょうね。魔術師の一派は古参の者たちですけど、白服の若い彼らと単純に比較はできません。出来れば争いを回避する方が賢明でしょう。聖櫃の実質的な司令塔は...彼です。――私は、組織の広告塔くらいしか」

 小馬鹿にしたように親王が嗤う。

 面白そうに、で。

「いや、精神的な柱だよ。君の存在が大きいから、東洋王国に囚われているというイメージであって欲しいんだ。恐らくは白服の大半は、君が囲われたから王国へ忠誠を誓わされた。そんなシーンの兵士もきっとある筈だ。この泉州王、こう見えても男を見る目は確かな方でね。潜在的な能力でもナンバー2の魔術師の方が上手うわてなのだろう?」

 深く息を吐いて、総長は小さく頷いた。

 なんで自分なんかの下に居るのかと、嘆いても見た。

「...好きだからだろ」

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