- C 718話 共同戦線 18 -
「ぶっちゃけて聞いちゃうけど、格納庫。実際のトコ、どうなってるんです?!」
エサ子の情報から、アロガンスの問。
ボクなりに推測すると多分...
いや恐らくも何も、これ。
壊滅的なダメージがあるよね。
と。
そもそもこの軍艦の技術、流れてるよね。
流れてるよね。
「...っ、格納庫か。ぶっちゃけると、私らも入れないんだわ...扉が壊れてて。いや、壊してくれちゃったから、こっちも格納庫をスルーして艦尾の第2、第3砲塔の砲郭の下から回り込まないと。おかげで、数十分も遠回りさせてくれ...ありがとう」
最後は完全に嫌味だな。
ヴィヴィアンへ上がる苦情の多さだろう。
まだ、嫌味がマイルドに感じる。
◆
東洋王国人は自殺願望者ではないのか。
欧州の賢人たちが世界図を見ながら、極東のただただ広いだけの国を指して、そう論じたことがある。
戦争が始まったのは、昨日今日のことではない。
半世紀、とうとう半世紀になった。
遼東にあった小王国が、浮き島に領民を助けてもらった事から始まった――大陸戦争。
東洋王国として動いたのは、つい最近のことだけど。
代理戦争って言葉を遣えば、半世紀前から戦時体制が敷かれてたわけだ。
王国内で3回ほど政権が交代してた。
「――暇だから、話し相手に後宮から連れ出したけど。えっと、君は人見知りが激しい方なのかな?」
泉州王の腰に敷かれてるのは、書を認めるための卓だ。
黒壇の高級品。
樫から削り出された逸品だという。
「ふむ、無口でもある?」
こりゃあ、困ったなあと顎を聞き手で覆う。
後宮から『この子、借ります』という手紙を置いてきたわけじゃないし。
また、給仕長にひとこと掛けたわけでもない。
目についたから。
いや、どんくさそうに歩いてたから掻っ攫ったに過ぎない。
聖櫃の白服どもが献上品だと押し付けた娘。
男の尻にしか興味にない親王にとって、娘の赤貝も菊門もその時はまったく興味がなかった。
よくよく気が付けば、
孔は孔、何も違いはなかったのだ。
「いやあ、孔って」
「おお、ようやく口を開いてくれたか」
そっちには興味ないか?って問うてきたようだけど。
聖櫃の総長はノーマルだから。
いや、ちょっとまて。
「えっと... 今は、オトコ?!」
「うむ、太さはそうさなあ、ニンジンくらいで。長さは10と...いや、15センチのマツタケであるな」
具体的な形がよぎったわ。
総長も口元を両手で覆って表情が読まれないようにしてる。
だって、想像しちゃって思わず、口角が上がったから。
「さて、シモの話はよいとして」
「シないんですか?」
「孔を拡張させるのか」
いや、真顔なんですけど。
こ、怖いなあ。