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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1840/2358

- C 713話 共同戦線 13 -

 ウォルフ・スノー王国艦隊は、ほうほうの体で逃走。

 軽巡洋艦から改修されたウイッチキャリアの搭載水上器は、全盛の3分の1未満へ。

 敵前逃亡が叶った魔法少女たちも、空に上がった1割未満である。

 心が折れた子が多数なので、仮に()()()()()によるメンタルケアが成されたのだとしても。まあ、取り繕える表面的な部分へのテコ入れは可能かもしれないけども、そもそもの魂の芯の部分はもう難しい。


 魔法使いってのは、心象を形にする技術者を指す。

 こと、トラウマを抱えた魔法使いに克服する力が無いのであれば――

 それらはもう、二度と空を飛ぶことはできないだろう。


 さて。


 重装甲水上器ヘヴィアームウイッチとして上がってた、魔法少年の一組が今更ながらに帰還した。

 彼らは、戦術爆撃チームとしての()をもつ。

 と、いうのも特務機関サーヴィターで開発された“耐物理攻撃防護盾アンチ・マテリアルシールド”を標準搭載し、マジックシールドの亜種的位置にあたる非視認性の展開型術式で、施設破壊や艦艇への急降下爆撃を遂行する。

 そんな命知らず....

 もとい、勇猛な少年兵士たちだけども。

 帰還した、いや出来た出撃組の疲労も、おそらくはピークだったように思う。

 当然、少女たちの殿として浴びせられる銃弾の前に割って入ったものだ。


 帝国の魔女が遺した遺産から、

 つぎつぎに発掘される魔法技術を、錬金術とともに解き明かすサーヴィターの技術力。

 展開式防弾盾だって、恐らくは欧州のどの国も貫通は難しく...それこそが地震であるんだけど。

 外骨格装甲から少年を引きずり出す、教官は「衛生兵ー!!!!」なんて叫ぶ。

 引きずり出した子の腕は肘からぐちゃぐちゃに。

「物理的な装甲までにも衝撃を与えるか?!」

 10ミリ近いセラミック構造の装甲を叩く。

 幸い貫通はしなかったけども。

 そこに弾頭がへしゃげた弾丸がめりこんでいる。

 よくみると、20ミリちかい弾丸には小さな文字が刻まれてて――古代文字、意味としての直訳なら『敵を穿て』なので、これが兇悪な威力に繋がってた。



 ウォルフ・スノー所属の少女たちは、シュリーフェンの飛行甲板に転がり込むよう降りてくる。

 夜間飛行訓練なんかも特にやってた訳ではないけども。

 箒の柄に仕込まれた保安灯が蛍のように照らしていて。

 誰かの誘導でもあったのだろうか、

 つぎつぎにと、降りてくる。


 昼間ならば、ざらついた飛行甲板で転がっても医療スタッフと整備兵で、彼女らをひとりひとり担架に乗せられるんだけども。陽が落ちた後もわらわらと降りてくるので――「飛行隊長殿!!」教官のひとりが少年たちを空に上げて、少女たちの手を引けるよう進言してきた。

 まあ、これが精いっぱいのことなんだけども。

「いあ、これは」

 伝声管の方を見る。

 蓋は開けてあるから、聞こえているとは思う。

「俺に投げるのか?」


「艦長だからな」

 こういう時ばかりにって愚痴が聞こえた。

 救助活動に入るという事は、ボクたちの追撃に一区切りつける事を意味する。

 ボクらとしても、ちゃんとついて来て欲しいところなんだけども。

「ああ、分かった。艦隊はここで、ひとりでも多くの友軍を助ける!!」

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