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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1839/2367

- C 712話 共同戦線 12 -

 魔法少女たちを庇って、少年らが盾となって海に、陸に降ってくる様は。

 異常と言うほかない。

 彼女たちも、戦場から一目散に逃げている。

 背を向けた子が次々に堕とされていく訳だけども――これは、戦争ではなく一方的な虐殺だ。

 って、東洋王国軍からも声が出る。

 封殺されちゃうんだけど。


 飛行甲板で出撃を待つ第2陣の飛行士たちがぞろりと、搭乗機から降りた。

 彼らなりのボイコットなんだけど。

 航空艦橋にある白服らは当然、ご立腹。

「転進する敵の旗艦を沈めねば、この戦いに真の勝利が得られぬのだぞ!!!」

 とか。

 威勢は良いんだけど。

 マジックシールドを紙のように、すり抜けていく銃弾を浴びせるのはパイロットたちで。

 現場の兵士たちである。

 故郷の家に待つ、自分たちの子や妹、弟くらいの子供たちに向けて放つ銃弾。

 それに耐えうる心は持ち合わせていない。


 これは抗議活動である。

 心から、いや良心の呵責からくる叫びなのだ。

「兵士たちの痛みが分かる」

 航空団長の絞り出す声。

 孫の顔が脳裏に浮かぶ。

 浮かんだ孫を手に賭けるような行為を、団長に代わって兵士たちがしている。

 これに心を痛めないものは居ないってことで。


 でも。

 それでも、白服は強硬的なマイクパフォーマンスに出た。

 洗脳してある狂戦士たちが甲板にあがってきた。

 整備兵や保安隊らの制止も振り切って――「元帥府の私設軍きみたちがどうしてもと言うのならば、それはそれでいい。軍法会議があるのならばせいぜい、諸君らの臆病風をどう言い繕えるか検討しておくといい。ただし、君たちの行動は敵前逃亡である...と、報告させてもらう」

 脅迫だ。

 逃走する敵勢力や、兵士を追撃しないだけ。

 言い換えれば“武士の情け”である。

 白服はその行為に“NO”だと突きつけた。


 で。

 正規に飛行士たちを甲板に置き去りにして、次々とエアクラフトらが空へ上がっていくのだ。

 制空権を得て帰投する第一陣がふらふらと甲板に降り立つ。

 発艦時は油圧式カタパルトで射出されるんだけども。

 帰投する時は機体下部のフックにワイヤーが掛かるよう誘導してくれる。

 何度も練度を積み重ねても、こればかりはなかなか。

「甲板の中央を使え! もっと真ん中へ!!!」

 なんて、ヘッドセットに木霊する誘導官からのもの。

 ふらふらしてるし。

 当然、わざとじゃないけどアイランドの艦橋付近に接近し過ぎて、騒然となる場面もあった。

「バカ野郎が!!!」

 白服の将校が吠えてた。

 影からじっと睨む兵士たち。

「フライトシミュレーターも導入してやったというのに!! なにも学んでないのか...」

 唾でも吐きそうな雰囲気。

 彼らは彼らで、自分たちの株と威厳を喪失させてた。

 もっとも戦争できればそれでいい人たちなので。

 或いは死に急いでるのかも。

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