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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1837/2354

- C 710話 共同戦線 10 -

「台州での懸念って何?」

 エサ子に質問されたので、振り向くと。

 まだ何か食ってるんだよね、この子。

 聞けば、魔獣の肉を干し肉にしてたらしく――これは、ハナ姉と一緒に狩りに行って、仕留めた...えっと、頭が鶏で身体が...獅子、いや虎だっけ。で、尻尾がガラガラヘビとかいう()()()のケモノだったらしく。美味そうだと思って狩ってきたもんが余ってるんだとか。

 いやあ、余ってるからって...

 なに? 塩漬けに。


 食べないよ、そんな得体のしれないキメラ。

「なかなか噛み千切れないのが悔しいところかな」

 どこの部位だよ。

 いや、いい。

 知りたくないから。

「えっと、かつての世界観だと、傭兵が闊歩してた。国の枠に捕らわれず、自由にそれこそ“狩り”をして......まあ海賊みたいな連中がさ。彼らはプレイヤーで、台州は主に彼らの拠点だったんだけど。この世界ではテーマパークだった雰囲気は、なく...ないよね?」

 念のために確認してみる。

 台州に行ったのは、前の世界だけだから。

「さあ、どうだろう?」

 ヴィヴィアンも首を傾げてる。

 聖櫃騎士団も、そこまで足は伸ばさなかった。

 大陸戦争は苛烈を極めてたから。

 わざわざ火種に突っ込むほど暇じゃないとか。

 いあ、そういう訳でもないか。

「じゃ、もう...希望しか残ってないね。で、これ以上はその希望にすがりつつ、民間の施設を傍目から軍艦にも見える“湖の乙女”号......使わせてくれるかどうかに係ってる。幸い、女の子が多数乗ってるから!」


「マジか、とうとう身体を」

 乳首を隠したままのアロガンスが口を挟む。

 おっとその反応はなんだよ!

「ちがーう!! 泣き落とし、泣き落とし!!!!」

 甘い蜜なんか、蜜なんか...

 いや、いい。

 考えるのやめる。



 再び長距離通信での会議が持たれた。

 相手は魔術師ガントと古株の聖騎士らだ。

 魔術師と邂逅した時は、さほど観察できなかったように思うけど。


 聖櫃騎士団と言う割には、どちらかというと。

「アルケミストの団体のようにも見えるかな?」

 ボクの怪訝そうな顔から、彼が導いた答え。

 図星だったからポーカーフェイスが崩れる。

「いや、出来てない」


「なにが?」

 ハナ姉に口を尖らせた。

 吸われそうになったので、一歩後方へ下がってた。

 自己防衛である。

「ポーカーフェイス」

 ええー、マジかー。

 エサ子も無表情でもぐもぐ口が動いてるが、アレはアレで怖い。

「エサ子のも違うからな」

 その横で嗤うウナちゃんへも、

「ウナも他人ひとの事は言えんからな。あんたは、魔王として上に立つ者の威厳を磨け」

 暫くそんなリレーを見せられてた、聖櫃。

 魔術師が再び堰を切るように、会話に入る頃――“遠見の鏡”というモニターの前に、ハナ姉()()残っていなかった。

「で、こちらには今のやり取りを見せるために、わざわざ秘匿回線が開かれたと見ていいのか、それとも...」


「(深くため息が吐かれ、)ああ、うん。こっちは一度、台州に入る事にする」

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