- C 707話 共同戦線 7 -
これは後日談なんだけどね。
コウテイ・マンタに座乗する、事実上の執政官キルダ・オリジナルさんからシバき倒された。
ぐちぐちと不完全燃焼的な小言のかずかず。
「魔王ウナ・クールに告ぐ」
「は...はぁい」
小さく、小さくみえる。
普段のウナちゃんだって、大きな子ではない。
まあ、AV基準で言えば『ミニマム』『幼女』『ちっぱい』とかキーワードが並ぶような、そんな体躯を誇る極めて希少な生物なのだけど。アンダーな方は、わりと茂み豊かな話を聞いた事がある。
うん、ボクとは大違いだ。
「なんで重要なことを」
「ご、ごめんなさい!!!」
謝り倒した。
いや、平伏だ、平伏――言い直して、土下座。
額が床に擦られるように、平べったい何かになる。
エサ子の経験による究極の謝罪スタイル。
これで、
彼女は学園長さんの折檻から逃れました。
褒められた話じゃないけど。
事実でもある。
さて。
大いに怒られた後は。
大いに接待することが必要だ。
相手は怒り疲れたのだからね、ケアが一番大事なんだよ。
「それも、経験則からか?」
ハナ姉がボクの傍で尋ねる。
彼女がいるとは露知らず、暢気なボクは軽口まかせに告げるんだ。
「ああ、そうだよ。人にもよるけど...エサ子なら一緒に甘いものを食べるとか。ハナ姉はボクを吸わせればあ、まあ大丈夫かな。我慢すれば、ふやけない程度に済むだろうし...ウナちゃんは書類整理を手伝ったり、マッサージしたり?」
うん、まあそんなとこか。
アロガンスさんは、誰かのパンツでも与えておくか。
静かになるし。
「ほう。わりと豆に見てるのな?」
ん?
「は、ハナね、姉?!」
で、今頃気が付く間の悪さ。
相手に必殺の褒め殺しの技を教えたところで。
凶悪な腕の力で、がっちり拘束されて。
「こうやって吸うんだよ」
ボクの胸元に顔を埋める彼女がある。
ふやけはしないところだけど。
そこは本日、ちょっと汗をかいたところで――
◆
中欧艦隊にとっては警戒してたのが、唐突に攻撃してきたって感じだろうか。
超高高空からの長距離射撃だから、当たらないと思わせながらの砲撃なんだけど、恐らくはバレていると思う。何せ、彼らはボクたちの砲撃を受ける前に、怪鳥ゴーレムによる威力偵察が成功していたのだから――「駆逐艦を攻撃したと思しき連中を...恐らく発見!!!」
確信はある。
だが、証拠がない。
そこに高空からの砲撃が重なる。
「イーグル、戻れ!!」
航空艦橋にある飛行隊長の言葉。
その無線通信に割り込むように、
「構わん、飛び続けて周囲の警戒に当たってくれ!!!!」
操艦ブリッジの副長からのようだ。
どっちを優先するかで悩み、副長から艦長に代わったところで。
「イーグル、先導を頼む」
艦隊は、狭い海峡へ歩を進めた。
ちなみに東洋艦隊は、南カリマンタン島の東南海岸線“サンタン”という、港町を押さえていた。
上陸後の間もない事だから。
サバ公爵軍だけではとうとう手に負えなくなった頃合いか。