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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1831/2354

- C 704話 共同戦線 4 -

「そんな実験、聖櫃はどう感じたの?」

 ボクは逆に問いたくなった。

 彼らはどう感じたのか、と。

「市民は群れる羊だと捉えるか、社会性のある狼であるか...ですか?」

 うーん。

 聖櫃さん達ってそんなこと考えるの。

 ボクの()()()みたいな、苦痛さがヴィヴィアンに伝搬する。

「争いを起こさない世界は、理想です。争いは何故、起きるか...自分と相手では違うからが、一番身近な種なのでしょう」

 他者を理解する上でも利用する。

 違うを()()()()って学問の方かな。


 手を見る。

 自分だけであれば、比較の仕様が無いから。

 これが普通だと思う。


 ハナ姉と掌を合わせてみる。

 バレーボールをしてたってのもあるし、体格もずっとボクより大きな女性だ。

 故にひと回りは大きく感じた。

「いあ、間隔じゃなく現実的に大きさは違うよ」

 窮屈な体勢だけども、

 ハナ姉がボクと手を合わせてくれた。

 が、その直後――「この手はしばらく洗いたくないなあ」

 理由を聞くのが怖いけど。

「そりゃ、義妹とのスキンシップで」


「ちょ、それがどうしたんだ?」

 ヴィヴィアンも、思わずカメラに手を差し出しかけてた。

 思い立って、腕を頭上まで挙げて結び直してる。

「ボクの指は短くて、ぷにぷにしてて太め。赤ちゃんみたいだって...言われるたびに心の隅で、傷ついてたんだけど。他人が見たボクへの感想であって...実際に乳幼児とは似ても似つかない訳。だってそれよりは大きいでしょ」

 ほう、なんて声が漏れる。

「比較すれば、指の細い人、もっと太い人、拳ダコとか傷がある、色が濃いとか白いとか...違いはそれぞれにある。差別は、さまざまに生まれてる」

 母の実験は、長命な支配者と命限りある人々の差を生ませた。

 代を重ねればより、濃密な差が生まれる。


 長命な支配者を世話する人々と、それ以外に。

 もっと加速すると、

 支配者と共に仕事をする人と、更に陳情を取り次ぎ、仕分けしてとか。

 もう、宗教みたいのもあるんじゃないかなあ。



 モニターの前の連中は、

 繋いだころと比べるとダレ具合が、まあ。

 聖櫃は、人々から自由意志を取り除いて、飼育小屋にあることが当たり前の“()()()”であって欲しいと願っている。社会も統一されたひとつの箱みたいなものが望ましいと考えてた。

 ヴィヴィアンが異を唱えても、

 幹部連中からすれば、副総長のご乱心としか見えない。

「そうかなあ」

 茶を啜るなか。

 もうひとつの回線がつながった。

 三者会談のようになる。

 相手は魔術師ガントだったんだけど。

「な、なんだ!? これは!!!!」

 ウサギちゃんと化かし合い後に、再び、似た連中と。

「ヴィヴィアン?!」


「いあ、色々あって...彼らも、魔術師あんたのトコついて来てもらう事になったから!!!」

 どこの底からなのか。

 魔術師の濁声が聞こえた。

 うん、唸ったからねえ。

「どうしてだ!」


「どうもこうもなくて...体当たりされて」

 ボクが前に出ようとすると、

 仔細は、副総長から。

 膨らんだエアバックから乗り出す、ウナちゃん。

「故あって、」


「だから、体当たりしたのだろ」

 はい、その通りです。

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