表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1830/2355

- C 701話 共同戦線 3 -

「どこがと問われると、流石に言葉に詰まるが。しいて言えば、雰囲気だとしておこう」

 聖櫃騎士団が、()()()()()()について行動を起こした切っ掛けは、ボクの母“司馬一恵”の存在が大きいと、彼らは告げる――神のような存在で、覚醒を促されたのだと...言うのだ。

 そのあたりは、ハナ姉も納得という顔をした。

  

 これはあくまでも。

 思考実験のひとつにすぎない。

 はじまりの人類...

 テスター2万人の意識をひとつの優れた()()()によって、統括管理されている箱庭実験が行われた――これが最初のモデルワールドだったようだ。とはいえ、あくまでも机上の空論が基にあって、テスターの意識はそれぞれ自由に『ハイファンタジー・オンライン』という、オープンワールドを堪能したというのだけどね。


 さて。

 ボクの母、兎に角、自由人な彼女は...だ。

 忠実で完璧な“独裁者”を作り上げる。

 彼が支配するのは、


 1)優秀な意識こたいによる箱庭らくえん経営。

 2)すべての人々と情報を共有した、統治。

 3)徹底した管理社会。


 残念ながら、すべて時、いずれかで蜂起された。

 パターンは3通りじゃないけど、代表すると...こんな感じ。

 で、文明が芽吹かないって事にやきもきすることになる。



 最近の研究では、

 水源のほとりで生まれた集落が“()()”に至るまでには、異文化交流があったとされる。

 定住地を持たない“遊牧民族”との遭遇がそれ。


 定住者には、食料がある。

 遊牧民には、それ以外のものがある――例えば、木材だとか石材、青銅などの工業品に...集落だけでは不足しがちな品物なども、遊牧民は持っている事があった。彼らと交流することにより、物々交換が始まって、交易、つまり文字が必要になる。

 そうして国家が誕生していくのだという。

 かつて世界の中心だった『オリエント』、歴史の話。


 母の実験は...

 宇宙人でも飛来してきて、彼らの手によって第一文明および人類が作り出されたような、奇天烈な世界だったんで破綻したんじゃないかと思う。指導者たちは理解しがたい技術で国を富ませていく...神がかったなんて生易しい。

 天候をズバリと予想し、

 ここ掘れわんわんとばかりに、必要な鉱石を発見し。

 溶鉱炉で溶かして精練するのだから。


 え? 何が起きてるの???

 と、多数の人々は訝しみ、怖がった。

 優秀な統治者は独裁者である。

 母の意思、啓示を受けた特別なAIだったんだけど。


 理想の為に長命でもあった。

 これがイケなかった。

 ――と、ボクは今でも思ってる。

「おやおや、なんでそう思ったかなあ?」

 ハナ姉の顔がボクの頭上にある。

 砲塔から身を乗り出したまま、踏ん張ってる様子なので。

 荷台のシートでごろごろしてるボクとは、アクティブなところで対照的。

「市民の為に手を尽くしているのは分かるけど。何年も経つのに...市民と為政者の関係って変わらないんでしょ?」

 モニター向こうのヴィヴィアンも首を傾げた。

「為政者は何歳だっけ、まあ20代や30代のままで、ひとつも老いることは無い。一方、市民は次の新しい世代が順繰りに切り替わっていくのだから、年齢と言う壁、或いは格差を感じているんじゃない? 自分たちは...()()()に立つことが出来ない」


「そちら?」


「国政に関われない」

 すべてを知る者についていくのは道理だけど、気持ち悪いこともある。

 神様だって置換しても、そこにある人間っぽい人から意味も分からずに“罪”を問われることもある。

 悪い事をしたかも知んないけどさ...

 言葉が理解できないのに、一方的に罰せられたら...理不尽だと思わないだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ