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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1821/2355

- C 694話 悪役令嬢の進撃 24 -

 屍鬼グールの発生は、301の投薬した()()()()()()()によって覚醒する、実験薬の成果でもある。便宜上、彼らは“覚醒進化薬トライドトニック”なんて言葉をチョイスして使ってた。

 本来の生物とは、生き残る環境と神さま裁量きせきによって、進化先が決まることになる。

 ほとんどの場合は元来の『生存本能』に従っている訳なんだけど。


 人工的に生み出される生物の進化先は少ない。

 今回のルーレットは死鬼グールのみだったのだろう。


 さて、噛まれた者の辿る末路とは。

 生きながらに陽を嫌う者になる――単なる死者とかゾンビとはひとつ決定的に違う点があって。

 こいつらは食事の為に、何でも襲うのだ。

 バンパイアと同じで血が活力源であるが、肉も食うし、ゾンビでも肉が付いてるのなら捕獲対象。

 兎に角獰猛な存在だ。

「その制服にその腕章、視たところ連邦んとこのマッドで、サイエンス的な連中かい?」

 前かがみ、肩から腕がぶら下がってるだけのような姿勢。

 大股に足を広げて、髪も肌もボロボロな人ならざる者。

 噛まれたのは服の上から、肩近くの腕と手首か。

 咄嗟に腕を出してしまったのだろう。

「哀れだな、実験動物に噛まれて。自身も、ソコに落ちるか」

 落胆したようなアロガンス。

 一応、慰めたつもりであるのが、彼らしいというか。

 これで殴ってもバチは当たりませんようにって祈ってもいる。



 装甲車は、教会の近くに止めた。

 ここくらいしか見晴らしのいい場所は無い。

 遺跡の方は崩落が始まっているとのこと。

「ウナさま、逃げ延びてればいいが」

 一呼吸つく。

 腕をぐっと腰元まで引いて気合を溜めた。

「褌じゃねえのが締まらねえが。流石に()()()()()()()()()()()()が居るパーティだからよ...俺も未だ死にたくはないって訳よ。だからよ、てめえらには悪いが木っ端になる覚悟だけはしてくれや!!!」

 斜に構えて、間合いをとる。

 アロガンスは大剣の剣士でもあるけど。

 無手での格闘家ジョブも持っている。

 こちらは、このアバター特性のスキルとなっていて。

 ジョブレベルは常人並みだが、ステータス無双ってやつで押し切る予定。


 構えた頃から悪寒はある。

 目の前に迫ってた死鬼グールたちも、気のせいか。

 遠くに見えるような気がするんだが。

「おや、おやおや」

 気が大きくなった彼はひとつ。

 とうとう、俺様のオーラが漏れ出たか。

 ステータス無双とは、ふふ、こんなものか――なんて思ってた事もある。

「ゴリラとは? 誰のことだ」

 幻聴かな。

 耳当てはするべきだったか。

「それを聞いてどうする?」

 アロガンスの背に鳥肌が。

 腕の震えは気温のせい...

 見上げる空からは、実に暖かな陽光が降り注ぐ。

「くぅ~」

 タイミングが悪い。




「ご、ごめんなさい。死んでお詫びします!!!!」

 振り返りざまに平伏するアロガンス。

 緊張と過度なストレスにより、髪が抜け落ちた。

 ごっそりだ。

 手ですかなくても、勝手にハラハラと散っていくような。

「忠犬だったとして、不問にしてあげます」

 ハナ姉も余裕はない。

 だって、教会の地下にまで伸びる地下墓地遺跡へ、脱出できたのは間違いなく義姉の力なのだ。

 使いすぎて今にも倒れそうな状況。

 アロガンスに1ミリも指は動かせない。

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