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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1819/2355

- C 692話 悪役令嬢の進撃 22 -

 さて。

 “湖の乙女”号の方は、同じ海域うみを何度も旋回しながら航海中。

 待てど暮らせど、人は来ず――1日に30発近く射撃して、挑発に乗らない中欧艦隊。

 素晴らしく慎重で、しかも思慮深く度量の深い提督だったか......ヴィヴィアンは、海図台の上でしなびれた茄子みたいな姿になってた。もしも、エサ子か或いはウナちゃんが居れば、茄子の気持ちも察せずに、指でつんつん突いていただろう。彼女らもまあ、容赦がないしねえ。

 そんな情けない姿だった。

「反応は?」

 (中欧)艦隊の位置確認。

「動きません」

 ダメか。

 資料では“頭に血が昇り易い”とあった。

 安い挑発で、爵位を失いかけた苦い記録きおくがある者が、提督として赴任してた。

「旗艦の両艦長が相当の切れ者か、或いは臆病者か」

 後者だとすると、

 追い詰めすぎると厄介かも知れないとか。

 艦隊が動かない事には、安全に東洋王国の海域に入ることが出来ない。


 現場はには、息を潜ませている情報収集艦っていう名の潜水艦が多数ある。

 これは、魔術師ガントからの情報だけど。

 流石に部外者だからと、潜んでいる位置までの捜査は難航を極めた。

 情報統制。


 元帥府のかの親王が、ではないだろう。

 彼女にはもう権限がない。

 ともすれば...

《飼い犬に手を焼かれるか》

 魔術師の手元から離れた、異分子たち。

 聖櫃が抱える技術はそのどれもがオーパーツである。

 持ち出された装備はただ、ひとつ。


 神代に口伝で遺された一節。

 一夜にして都市を塩に変えたという、特殊砲弾だ。



 すでにオウル級が、その威力を東洋に見せつけた隠し玉――決戦兵器“ミョルニル”。

 帝国の魔女が国内に遺した手記から発掘された、オリジナルと比較するとやや性能に劣るところがあるが、弾頭に属性魔法紋様を描き加えるだけで“光属性”から“火属性”或いは“水属性”など、さまざまに変容させることが出来る豊富な知識があった。

 すでにマッピングも済ませてあるので、相性のいい属性同士の合体魔法なんてのも。

 容易に創造できるレベルであったわけだ。

「共有はよかれとの...総長の考えだったが」

 モニターの前に再び、ヴィヴィアンがある。

 暇になったのでテレビでも点けるように、魔術師の顔を海図台の上で寝そべってみてる。

「ふん、心ここに非ず、か?」


「あ、うん」

 本音を言えば、総長あねとイチャラブしている魔術師おとこと会話する気はない。

 が、こうも裏目に出ると。

「悪役令嬢ロールで、方々から憎まれてた筈なんだけどね」


「なんだ、なんだ! 唐突に」

 意味不明。

 ま、令嬢ごっこは経緯くらいは魔術師に伝えた。

 で、彼からも深い溜息が漏れた。

「何やってんだよ、お前は」

 自覚はあるんだから、説教は聞きたくない態度が素に出る。

 傍目からでも分かるけども。

 やっぱり口に出したくなるのは、人間だからだろう。

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