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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1818/2355

- C 691話 悪役令嬢の進撃 21 -

 水上器空母ウイッチキャリアシュリーフェンの飛行甲板に、怪鳥ゴーレムが鎮座する。

 発掘された旧時代の遺物から、錬金術たちが模倣した代物。

 それが近代の“怪鳥ゴーレム”である。


 性能は、オリジナルの5割減。

 魔導炉を搭載しない、内燃機関のみの飛行レシプロ機と比較して。

 若干、マシって感じかな。

 魔法少女らのように、魔力で或いは魔石・マナ鉱石で起動するという事は、エネルギーの半永久機関ってことを意味する。まさに究極の循環する動力源であるわけで、もともと魔力がある世界では()()()が正統なる進化形態なんだけど。


 伝えるべきはずの技術は、当代の魔術師たちにより封印されてた。

 おそらくだけど、これらの技術が平和利用()()()()、人類にその使用用途も含めて懇切丁寧に遺されただろうけども――人間は、そんな都合のいい生物ではない。というか、理想

だけで、大いなる力を託せるような性格じゃないと――言えた。

 信用が置けないから、封印したのである。

「計器類は問題がないな...」

 発掘当時からの模倣だから、操縦席周りが広く寂しい。

 ジャイロコンパスと、速度計に高度計くらい。

 あと、時代に合わせて操縦者のシートは自前で。


 あと、なぜか。

 ゲームパッドがついている。

 あ、これ...も、模倣か。

 なんか、ボクの黒歴史を見せられてるような。

「エンジンの調子が見たい」

 整備班長のハンドサイン。

 ゴーレムに乗り込むと、キャノピーをスライドさせて。

 機外の人々と会話ができる状態が難しくなる。

 ま、内外は無線か念話でOKではあるんだけど...

「分かった」

 ゲームパッドの“RT”ボタン押す。

 パッドを両手で握った時に、およそ人差し指が当たるとこに“RT”ボタンがある。

 長押ししていると、機体側面に2基あるエンジン・ノズルから黄色っぽい炎が見えるようになる。

 厳密に言えば赤の後半、黄色の手前で燃焼温度は約2千度ちょい。

 マナ鉱石と魔石の混合物が用いられたエンジンが採用されてた。

「うん、いいね。音がいい」

 整備班長から親指があがる。

 “RT”ボタンを放して、炎の色が赤に戻る。

 後、収縮してたノズルが開いて、炎が見えなくなった。



 航空艦橋には、平甲板での安全点検の報告が届く。

 ま、司令塔も挟んだ二者会合――この期に及んで、司令塔が渋ってる。

「あれらの攻撃が、公爵の差し金であるにしても。場合に依っては...南欧諸侯連合とも事を構えなくてはならん事態に、」

 とか少し先の話をしている。

 そのための観測であるという大前提を忘れたかのように。

 これ以上の魔法少女・少年たちに寒い空へ上げることは、良心が痛むという教官たちから。

 或いは、整備隊からの陳情によるもの。

 無視すれば暴動にもなりかねない。

「仮に、仮にだが。ヴェネツィア連邦の意図くらいは」

 弱腰になっているの提督の本心は、だ。

 お飾りでいいから体裁の形で出ておくれと、彼の国の元首から告げられたからだ。

 ただ、座ってる椅子を温めるなら問題はない。


 まあ、友軍の船が沈んだことは――「まことに遺憾である」


 それ、便利な言葉ですね。

「あちらにその気がないとしても、まことに公爵の攻撃とも」


「ですから揚げるんですよ!! 怪鳥ゴーレムには長距離通信が可能なユニットが載っています。それでも防寒を施した中継リレー器は必要ですけども...」

 茶々がはいりそうだったけど。

「そこは教官たちが揚がると言ってくれています。飛行師団長として、このシュリーフェンの飛行隊長としても、彼らの気概を汲み取って子供たちの代わりを務めさてやりたいと思ってる次第です!!!」

 押し切った。

 提督は、最後まで『私の()()にはしないでくれよ』だった。

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